民進党は使い物になるリベラルを目指せ

城 繁幸

先日、ご存じのとおり北朝鮮のミサイルが日本列島を飛び越して大騒ぎになったばかり。
それを受けた国内のリアクションをつらつら観察しているのだが、まあ予想通りと言うかなんというか、リベラル界隈のそれがひどい体たらくである。

【参考】

 

 

 

 

 

「金出して何とかしろ」って、それ韓国がやった太陽政策でむしろ核開発進んじゃった結果がコレなんじゃないかと。というかテロリスト国家に金払うなんて国際的に許されないだろう。韓国人もブチ切れるぞ。

どうして普通に安全保障を合理的に考えるという行為がこの界隈の人たちに出来ないのか筆者はとても不思議に思う。

いや、安全保障だけではない。筆者がこれまで遭遇してきた“リベラル”な面々の主張は、だいたい以下のようなものだ。

・経済政策について

「企業に正社員化を義務付け、定年まで面倒見させる」
「長時間残業は禁止する。残業代減った分は法律で賃上げを義務付ける」

・年一兆円伸び続ける社会保障給付の財源について

「企業の内部留保を吐き出させる(=企業を解体してなぜか従業員で分配!)」

で「安全保障は憲法9条さえ持っとけばOK!」でしょ?
とてもじゃないけどマトモな若い人はこんなの支持できないでしょ(笑)
若年層が右傾化したんじゃなくて、リベラルがポンコツすぎてお話にならないというのが実情だろう。筆者はむしろ、支持しようにもマトモなリベラルが不在な今の状況は、若い世代にとっても日本にとっても不幸なことだと思う。左右がバランスをとってこそ実のある議論が行われるものだからだ。

【参考リンク】安倍内閣の支持率は「若高老低」

そういう意味では、(さっぱり盛り上がってないけれど)民進党代表選は、新しいリベラル的な価値観を打ち出せるかどうか、に注目したいと思う。ポンコツリベラルの親分みたいな共産党と共闘とか言ってる人達は全部切って、中身のある提言が出せる人たちを中心にまとまれば、時間はかかるだろうが本当の意味の受け皿になれるかもしれない。

実はその兆しは既にあって、社会保障を企業に丸投げするのではなく、年齢や雇用形態によらずユニバーサルな形で国が提供し、財源としては消費税も含めた増税でまかなうという考えが、民進党の中で支持を得つつある。「きちんと財源を確保した上で間口の広い大きな政府を作る」というのは、筆者は本来のリベラルとしては正しいと思う。

【参考リンク】窮地の民進党で「分配政策」を軸に求心力が働き始めた

その上で合理的な安全保障政策も前原さんあたりが中心となってまとめれば、ポンコツリベラルとは一線を画した「使えるリベラル」が出来るんじゃないか。民進党が意味のある政党になるには、恐らくそれが唯一の道だろう。


編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2017年8月31日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。