米国でウェブアクセシビリティ訴訟は増加の一途

障害者差別関連訴訟の経験が豊富な弁護士たちで構成する団体Seyfarthが、米国におけるウェブアクセシビリティ訴訟の動向について記事を掲載した。概要を紹介する。

企業サイトがウェブアクセシビリティの基準を満たしていないという理由で2015年に提起された訴訟件数は57件だった。これが2016年には262件に、2017年は8月15日までに432件に増加している。トランプ政権下で連邦司法省がウェブアクセシビリティ規制に熱心に取り組まないことになったため、不満を感じた障害者が連邦裁判所に直接訴訟を提起するようになったためと、Seyfarthは増加の原因を解説している。

3年間合計751件について、小売業353件・レストラン186件・旅行関連産業57件と、生活に密着した産業が訴訟の対象になっている。

カリフォルニア州は人権意識の高い州として知られているが、ウェブアクセシビリティ訴訟ではフロリダ州(385)・ニューヨーク州(170)・ペンシルベニア州(85)の後塵を拝している。

わが国でも障害者差別解消法第八条によって「事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。」と定められている。この条文には何の罰則規定もないが、ウェブアクセシビリティが満たされていないために受ける差別的取り扱いについて、障害者は米国のように訴訟を提起してもよいのではないだろうか。