私は、007ジェームズ・ボンドの大ファンです。
とりわけ20代の頃に観たロジャー・ムーア扮するジェームズ・ボンドには心躍らされました。
ウオッカマティーニをシェイクして飲み、ボンドカーのロータス・エスプリに憧れ(ロータスは到底手が出なかったので、形がよく似たトヨタのセリカダブルエックスの中古車を買いました)、ボンドシリーズの映画に熱狂したものでした。
今般、「007に学ぶ仕事術」(尾藤克之著 同友館)を読み、いささか驚くと同時に私自身が大きく見落としていた点に気づきました。
よくよく思い返すと、007は実に「上司あしらい」がとても上手いのです。
007の上司はMなのですが、毎度毎度かなりムチャなミッションを課してきます。
会社の上司が同じような命令を下したら、「そんなムチャなことはできません!」と抗議したくなるような内容です。
しかし、007は顔色一つ変えずに上司の命令を聞き、何とか実現するようあれこれと工夫します(彼を助けるのが秘密兵器を開発する技術者のQです)。
まあ、映画だからと言ってしまえばそれまでです。
しかし、あなたが必死でやり遂げた大仕事を上司が自分の手柄にしてしまったらどうでしょう?
本書P.146の「ジェームズ・ボンドへの道」には、「大成功を収めたとしても、自慢話・苦労アピールはするな!手柄を黙って上司に渡せるようになってこそ、一人前!」と書かれています。
一握りの尊敬すべき上司を除けば、ほとんどの上司は、「部下の手柄は自分の手柄。自分のミスは部下のミス」にしてしまいます。20代の若かりしサラリーマンだった頃の私は、そういう上司に対していたく憤慨して面と向かって抗議したものでした。
しかし、その上の人(例えば部長だとか取締役)は、そのへんの事情をしっかり見ています。
あなたが、すんなりと上司に手柄を渡すことができる社員か、それとも自分の手柄をアピールする社員かを。
もちろん、前者が高く評価されることは間違いありません。
組織では、常に「一つ上の目」があることを忘れてはなりません。
007のように、スマートにさりげなく手柄を渡してミスをかぶりましょう。
過去の私自身の至らなさを戒める意味を込め、この姿勢を貫くことを強くお勧めします。
「一つ上の目」から評価されていれば、仮に転職するとしてもステップアップが期待できます。なぜかって?
「一つ上の目」があなたに大きな仕事を回してくれて、それがあなたの実績になるからです。くれぐれも、私の鉄を踏まないようにしてくださいね。