発足当初の都民ファーストは、あくまで希望の塾の運営母体となる政治団体でしかなかったのだが、都議選対策講座を開設し都議会議員の候補者を選抜し、公認権を持つ本格的地域政党になったあたりで組織替えをし、簡単な綱領や党規約等を整備するようになったのだと思う。
都議会議員候補者を擁立する本格的な地域政党になったのは、多分今年の初め頃だと思うが、どうもその当時都民ファーストの綱領や党規約の策定に関与された方々は、政党や政治団体の設立や運営について詳しくなくて、組織としては実にファジーな状態のまま選挙戦に臨んでしまったようである。
わが国には政党法がないために、こういうことが罷りとおってしまうことがあるのだが、決して褒められることではない。まあ、手探りでともかくここまでやってきた、ということだろう。
都議会の都民ファーストという会派は、当然都議会の運営ルールに基づいて設立・運営されている立派な組織だと思うが、都民ファーストの都議会議員の皆さんが所属していると思われる地域政党の都民ファーストは、ひょっとすると、政治団体の代表者と会計責任者、さらに事務担当者の氏名と団体の所在地だけが明記されているだけで、その他の事項はすべて内部の規約に委ねられていたのではなかろうか。
すべては団体自治に委ねられていて、法の支配が及ばないようなところがあるから、外部の人間が組織の在り方についてあれやこれや言っても何の影響を及ぼすことも出来ないが、まあ、組織としては実に未熟、未成熟な団体ですね、と言わざるを得ない。
都議会議員でもない野田数氏を設立時に代表に選んだ時点では、多分希望の塾の運営と来るべき都議会議員選挙の公認候補者の選抜と都議会議員選挙への対応しか念頭になかったので、選挙運動の指揮に通じた野田氏を代表に選任していたが、実際に選挙戦を戦うためにはどうしても小池さんが前面に立つ必要がある、ということで、急遽小池さんが代表に就任し、首尾よく選挙戦に就任したら小池さんが代表を降りて再び野田氏が代表の座に返り咲いた、ということだろうが、本格的な地域政党になるためには如何にも拙劣な対応だった、と言わざるを得ない。
まあ、どんな組織も、出来立てほやほやの時にはこんなものですよ、と言ってあげてもいいのだが、所属都議会議員が55人もいる大地域政党となった以上は、これではいけない。
多分、この方面について明るい人の指導を受けないままに、選挙コンサルタントと称される方々や議員秘書の経験がある方々の、どちらかと言うとあまり当てにしてはいけない素人判断を真に受けてやるからこんなことになる。
すべて手探りでやってきたからこんなことになるのだろうが、やはりこういうことについては専門家の知恵を借りるべきである。
もっとも、どこにそういう専門家がおられますかと聞かれても答えられないのだが、自民党の事務局長などを長く務めてきた人に頼れば、ほどほどのアドバイスが受けられたはずだ。
都民ファーストが組織として大きな問題を抱えていることは否定できないが、しかし、だからと言って今回の荒木さんの代表選出に法的な瑕疵があるわけではない。
むしろ、都議会議員ではない野田数氏が外れて都民ファーストの風通しが良くなりそうですね、と私自身は喜んでいるくらいである。
都民ファーストの組織固めや活動のブラッシュアップは、これからである。
音喜多さんは、そういう認識でこれからのご自分の活動を展開されるのがいいだろう。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年9月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。