道州制と一院制の議論は政治家の意識覚醒には最適のテーマ

政治に対しての関心が高い方々に更なる意識覚醒を求めるにこれほどいいテーマはない。

統治機構の根幹に関わることだから、道州制や一院制を導入することになったら、それこそ日本の政治の仕組みがガラッと変わることになる。

政治の仕組みがガラッと変わることは間違いないのだが、それが本当にいいことかどうかは実際にはやってみなければ分からないことなので、物事を深く考える習慣がない人は入り口の議論を聞いただけであとは思考停止して現状維持になってしまうのだが、政治意識の高い人たちにとっては口角泡を飛ばしていつまでも議論を続けたくなるような魅力的なテーマである。

私は、道州制の議論も一院制の議論も大好きなタイプに属しているが、総論賛成、各論反対のようなところがあり、最終的にはあっちの議論、こっちの議論のいいとこどりを考えてしまうので、どうも単純な道州制推進派や単純な一院制推進論にも与しない中間派、折衷派みたいなことになってしまうのだが、それでも道州制論者や一院制推進論者の方には深い敬意を払いたくなる一人である。

何も考えない現状維持派よりも道州制推進論者や一院制推進論者の方が一般的に政治的見識が高く、純粋で、人格が高潔な方が多い。

まあ、青臭いと言えば青臭いのだろうが、とにかく自分個人の利害を超越して国家の在り方を熱く語るようになるのだから、政治家としては極めて筋がいい人たちである。

小池新党はどうやら一院制の実現を政策の重要な柱に位置付けるようだから、本当に一院制を実現しようとしている人たちは凡俗の利権政治家や特定の企業や団体の利害の代弁政治家よりも遥かに政治家としての質が高いと言えるだろうと思う。

自民党に対峙し、自民党を凌駕できるような新しい政党を作ろうとしている方々が一院制の実現を旗印に結集しようとしていることは、実に画期的で素晴らしいことは間違いない。

もっとも、これは、あくまで政治の世界にいる人たちにだけ通用するもので、現生利益やさしあたっての結論を求める人たちからは、まあ何と自分たちの世界とは遠いことを議論している人たちだろうと、呆れられてしまうことは覚悟した方がいいのだが。

一院制の実現を政策の柱にするのは、既成政党から離脱する人を選別したり、吸引するための一つの仕掛けだろう、と喝破した人がおられたが、確かにそういう一面があることを否定しないが、それでも政治に志を立てた人たちの政治意識を覚醒するためにこれほどいいテーマは滅多にない。

私などはこういうテーマが与えられたら夜を徹して語りたくなる一人だから、若狭さんが一院制実現が新党の一丁目一番地だ、と断言した時にはガーンと頭を殴られたような気がしたものだ。
とにかく、真面目な政治家にとってはこれほど面白いテーマはない。

これからどういう経過を辿って新党の設立に辿り着くのか見守っているところだが、私も新党の設立に参加したくてウズウズしていることは間違いない。
それほどに、深いテーマである。

もっとも、このテーマではまったく票には結びつかないと思うが。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年9月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。