「くまモンつけとけば売れる」という嫌な風潮に一言!

黒坂 岳央

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

2010年にそのかわいさに驚きを持って迎えられたくまモン、いまや世界中で愛されるキャラクターくまモンを知らない、見たことがない日本人はいないんじゃないかと思えます。

そんなくまモンは個人・法人に限らず申請をすれば、誰でも無料で使用できるので一気に広がりました。日本の片隅にある「熊本県」を全世界に広めた最強のご当地キャラくまモンですが、時々「ん!?それいいの??」と思うような使われ方を目にすることが増えてきました。

熊本以外を宣伝しているくまモン

私は熊本県に移住し、同県内でビジネスをしているのでくまモンを応援したいという気持ちが強くあります。くまモンがあちこちで「くまもとサプラ~イズ!」といって活躍する度に熊本県が注目されます。また、くまモンコラボ商品などで学習帳や水筒、マグカップなど愛らしいグッズなどになっていることはとてもいいことだと思っています。私自身も夏にはくまモンのセンスを取り出し、涼を取っています。

そんなくまモンの本業は「熊本県をPRする営業本部長」です。あくまで熊本県をPRして、そのかわいさでみんなを癒やしてくれる、これが仕事じゃないですか?しかし、そんなくまモンは最近、次のような使われ方をしているのを見ることが多く、「おかしいな」と思っています。

引用元:https://twitter.com/_mi_zu_ta_ma/status/288449173269929984

もちろん、くまモンがスキーの格好をすることはおかしいとは思いません。ですが、熊本県をPRするためのキャラクターが、新潟県をPRするというのは「使えるものはなんでも使う」という姿勢が見えて正直気持ちのいい使われ方ではありません。「目を覚ませくまモン!君が一生懸命宣伝しているのは熊本県ではなく、新潟県だぞ!」と思わず心の中で叫んでしまいました。

新潟県にはキモかわいいことで知られる「レルヒさん」というご当地キャラがちゃんといます。本来は新潟県をPRするのはレルヒさんなのに、くまモンにやらせているわけです。「レルヒさん仕事しろ!そしてくまモン熊本に帰ってこい!」といいたいですね。私はこの様子を見て、「新潟県はレルヒさんでは力不足だから、くまモンの知名度に乗っかっている」と感じましたね。この広告を出した人がレルヒさんへの愛がなく、話題性やくまモンの知名度に乗っかれればそれでいいという商業臭がして残念に思えます。

商業臭のするくまモンは好きじゃない

私は商業臭の漂うくまモンは正直、好きじゃありません。なぜかってそこにはくまモンらしさが微塵も感じられないからです。

それは他の愛されキャラでも同じことがいえます。ドラえもんでもアンパンマンでもハローキティでも同じです。正義の味方、アンパンマングッズの吹き出しに「たくさんグッズを買っていってね!ボクお金欲しいんだ!」と書いてあったらどう感じるでしょうか?私なら「かわいそうに…このアンパンマンは誰かに操られているんだね」と思ってしまうことでしょう。本物のアンパンマンはそんなことはいわないと思います。自分の顔をちぎってお腹をすかせた人に食べさせてあげるのがアンパンマンじゃないですか?商売臭がプンプンするのはアンパンマンのキャラとはマッチせず、そのギャップにものすごく違和感を覚えるわけです。

くまモンもそれと同じです。熊本県が大好きで、熊本県産の食べ物が大好きなのがくまモンです。それなのに「ボクは本当はお金が一番大好きなんだモン!」というフキダシが見えてしまいそうな、商売っ気バリバリなくまモンを見ていて私は悲しくなりますね。先ほど取り上げた新潟県をPRするくまモンの他に、熊本と無関係なご当地グルメにくまモンのイラストつけて売りまくっているのを見ることもあり、残念でなりません。

越えてはいけないライン、考えろよ

誰でも申請すれば無料で使える、これによって爆発的に広がっていったくまモンです。そこにあるのは「この愛らしいキャラクターで熊本県を盛り上げ、みんなが明るく、幸せになって欲しい」という製作者の想いが込められていると思うんですよね。決して「くまモンを上手に活用して、売りまくってください」と思ってはいないと思うわけです。

誤解のないようにしてもらいたいのですが、私はくまモンを活用して商売をするのをダメだといっているわけではありません。くまモングッズは見ていてかわいいですし、私ももちろんよく買っています。使うことがダメだというわけではなく、雑な使い方をしないでほしいと思うわけです。上でお話した通り、他県のご当地PRや「くまモンつけときゃとりあえず売れるだろ」という売れればなんでもいいという商業臭の漂う雑な使われ方のことをいっています。だってそんな使い方をしている人にはくまモンへの愛がないですもの。

くまモンを使うなら愛してください!見ている人に愛されるような使い方をしてください!

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。