小池百合子都知事が”希望の党”を旗揚げし、連日メディアが進捗を報道中ですね。
正直、米国メディアはCNBCをはじめ総選挙と2兆円規模の”人づくり革命”対策に注目したものの、小池新党に関するニュースを積極的に伝えているようには見えません。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のアジア版も、NY時間の午前10時15分でご覧の通り。”小池都知事”だけでなく”日本”の文字すら見当たらないなんて、ちょっぴり悲しいくらいです。
(出所:WSJ)
そこで、別の海外メディアに視点を移してみました。
まずは英フィナンシャル・タイムズ紙。東京駐在の特派員、ロビン・ハーディング記者の記事は、小池都知事の新党設立に対し政治アナリストの意見として”大いなる賭け(a huge gamble)”と伝えます。国政参加にあたっての人材やインフラなど、政治資源が十分ではないためです。2016年7月に都知事に就任してから僅か1年での旗揚げとあって、都知事職を軽視している姿勢が憚られるのではないかとの疑問も呈します。しかしながら、”日本国内は既に”安倍VS小池”の構図に熱狂している”と指摘。安倍首相は総選挙をめぐり”算段を誤った可能性がある”と分析していました。さらに、”野望に(no stranger to ambition)”と題した別枠を掲載。女性初の首相を目指す小池都知事のペットの名前が”総理のそうちゃん”だと明かすほか、郵政民営化を目指す小泉政権下では”刺客(assassin)”として地元兵庫県から東京10区へ選挙区を移し当選したエピソードを伝えるなど、小池都知事の実像に迫っていました。
もう一つは、中国のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙から。”過去と決別し、新党’希望の党”で安倍首相に挑戦(Tokyo governor Yuriko Koike vows break from the past while launching new ‘Party of Hope’ to challenge Shinzo Abe)”と題した記事で、小池都知事の言葉を引用し”中国のほかアマゾンやアップルなどの米企業がナンバーワンに躍り出る間、日本企業はかつての栄光を失ったと、小池都知事は’嘆く”と伝えます。また、BMIリサーチの政治安全保障リスク部門のグローバル・ヘッド、ヨエル・サノ氏(ロンドン在住)のコメントを引用。小池新党が自民党にとって”深刻な不確定要因(major wild card)”で、安倍首相による総選挙の決断は’”北朝鮮問題が深刻化するなかで全く不必要”と伝えます。さらに東京大学の川人貞史教授の見解として、小池新党は自民党に”打撃”とも報じました。
この2つの報道を比べると、どちらも希望の党が躍進する可能性を仄めかしているように読み取れます。もちろん、”希望の党”が大勝するにあって時間が足りない点を強調しますが、少なくとも安倍首相の”計算ミス”を突いていたことに違いありません。
民進党と合流する方針で最終調整に入った希望の党、10月10日の公示でどこまで候補者を擁立してくるのか注目です。
(カバー写真:Utenriksdepartementet UD/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年9月27日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。