同期の武田から突然LINEが送られてきた。「来月なんだけど。予定がダブルブッキングしちゃって、代わりに上海の展示会に行ってもらえないかな?」。「オレ、中国語できないしなぁ~」。「通訳の陳さんも一緒だから大丈夫だよ!」。「マジか」。片言でもいいからすぐにマスターしたい。しかし、どのような勉強方法が効果的かわからない。
このような時には、中国語と日本語の双方に堪能な人に聞くのが手っ取り早い。『筆談で覚える中国語』(サンマーク出版)の著者であり、中国語講師の、陳氷雅(以下、陳氏)は、中国語を簡単に覚えるなら「発音にとらわれてはいけない」と主張する。今回は、中国人を満足させるサービスや、中国語の楽しさについて紹介したい。
丁寧を不満に思う中国人もいる
――数年前に「爆買い」が話題になったことがある。デパートや家電量販店に殺到する中国人を見かけた人も多いのではないか。
「中国人にとって、一番喜ばれるのは『メイドインジャパン』であること。それは『もの』だけでなく『人』に対しても同じで、日本人スタッフにもてなされたいと感じる中国人も少なくないようです。しかし、日本流のおもてなしは中国人にとって問題があります。丁寧なおもてなしを『くどい』と感じてしまいます。」(陳氏)
「よくあるのは、デパートの化粧品売り場です。中国人の多くは買いたいものを決めています。それでも、会計などで不思議なほどに時間がかかります。中国人にとっては丁寧なことが必ずしもよいわけではないのです。」(同)
――ツアーで日本に来る観光客は時間が限られている。中国人は欲しい商品を調べてから買い物に来るので、丁寧な説明は時間のロスと思われてしまうようだ。
「細かく商品の説明をするよりも、素敵な笑顔でテキパキ接客し、綺麗に商品を包み、さらにはサンプルをあげるなどしたほうが中国人は喜ぶはずです。」(陳氏)
中国人に氷水を出してはいけない
――中国人のリピート客が多い飲食店と、そうでない飲食店がある。なぜだろうか。
「いろいろな理由があるかと思いますが、中国人観光客の心をつかむためには実は料理の味だけでなく、中国人が好むパフォーマンスも重要です。たとえば、サービスで出す水をお茶に変えるだけで、中国人は『得をした』と考えるでしょう。現代では少しずつ変化したものの、中国人に氷水はあまり喜ばれません。」(陳氏)
「中国人の多くが氷水は身体の循環を悪くしてしまうと思っているので、冷やしたものはあまりとらないのです。中国で成功した日本の飲食店で、九州熊本発祥の『味千ラーメン』があります。日本では知らない人もいるそうですが、『味千ラーメン』は国外に進出し、中国でたいへんな支持を得ています。」(同)
――その理由のひとつが、温かいお茶にあるそうだ。『味千ラーメン』は水ではなく温かい玄米茶を出す。これが中国人に感心され評判につながった。
「さらに日本式の湯呑みを使うことで、中国人は視覚と触感から、日本らしさや温かみを感じることができたのでしょう。皆さんも中国人を相手にするとき、まずは湯呑みとお茶から出すことを心がけてみてください。」(陳氏)
中国人に親しまれる寿司ネタは
――最近、日本の回転寿司が中国のデパートなどに進出している。日本料理の代表として、寿司は中国で庶民化しつつあり、親しまれているようだ。
「寿司のメインといえば、魚介類です。ですが、「鯛」「鮭」「鰤」「鮪」などの漢字は中国人には馴染みがありません。中国は大陸国家で、沿岸部の地域以外これらの魚に触れる機会がないからです。大陸国家の中国では魚といえば川魚で、海水魚を食べる機会はありません。実は、それほど魚の種類を知らないのです。」(陳氏)
「また、中国人は基本的に生モノを食べないので、寿司屋には生モノ以外のメニュー(カッパ、エビ、うなぎ、炙り、天ぷら、うどん、丼もの、茶碗蒸しなど)が豊富です。中国語の漢字には一定の法則や意味がありますが、魚の漢字にはそれがありません。漢字が難解で読んだだけではどんな魚か想像もつかないはずです。」(同)
――拙著『007に学ぶ仕事術』でも触れているが、「007は二度死ぬ」で公安トップを演じた丹波哲郎は寿司好きで知られている。貝類が好みだったようだ。好みの店として築地直送の大泉学園のお店をあげている。さて、中国語の学習は発音からはいることが多いが挫折する人が少なくない。新たな勉強法を試したい人に本書をおすすめしたい。
尾藤克之
コラムニスト
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