ビシっとキメる!とりあえずビールの作法をご存じか?

写真は講演中の西出氏

本格的な秋を迎えた。秋といえば、やはり「食欲の秋」ではないだろうか。味覚狩りにあわせて接待の頻度が高まり、怒涛の接待シーズンに突入していく。今回は、『かつてない結果を導く超「接待」術』(青春出版社)を紹介したい。接待の場面をうまくコントロールしながら、楽しむTPOを覚えておきたいものだ。

西出ひろ子(以下、西出氏)は、マナー講師である。主な著書としては、28万部のベストセラーを記録した『お仕事のマナーとコツ』(学研) があり、2010年「NHK大河ドラマ・龍馬伝」にてマナー指導を担当するなど活動は幅広い。日本でもトップクラスのマナー講師としても知られている。

会話をする時には気張らないこと

――接待中は、自分なりに善かれと思うことを話そうとする。しかし、気持ちだけが先走り、気がついたら早口になり、自分だけが話し続けていて、ひんしゅくを買うこともある。慣れていないと場違いな対応しまいがちだ。

「前置きが長くなると、『独りよがり』『自己中心的』『信頼に値しない人』などのレッテルを貼られてしまう危険があります。会話は、もちろん大切です。だからこそ、会話に関しても、事前にそのマナーを習得し、失敗しない接待での会話術を身につけてください。外見や所作が完璧でも、大人のやり取りが求められます。」(西出氏)

「また、見た目や所作は自分ひとりが頑張れば一夜漬けで対応できますが、会話はそうはいきません。接待での会食は、少なくても2時間から2時間半は同じ空間を共にします。この間の、相手の反応や質問内容は予測不能です。」(同)

――接待とは、相手に喜んでもらえるもてなしをすること。それには、会話の仕方やTPOもしっかり覚えておきたい。実際の食事中にどのような会話をすればその接待の目的を達成できるのか考えて臨んだほうがよいかも知れない。

「『何を話せばいいのでしょうか?』。マナーコンサルティングのお客様から『接待では何を話せばいいのでしょうか?』という質問をよく受けます。企業同士の接待なのか状況や目的などに応じて様々です。自社の具体的な商品やサービス内容を伝え、先方の反応をみて、具体的な説明をしたいという人もいるでしょう。」(西出氏)

「臨機応変さも求められるのが接待。その場の流れで展開できる柔軟性のある応用力、対応力なども、日頃から意識をしておくと良いでしょう。最低限、失礼のない言い方や、言葉づかいは元より、『また会いたい』と思っていただけるよう、場を楽しく盛り上げる話題や話し方を身につけておきたいものです。」(同)

紳士淑女なら接待を無難にこなす

――「とりあえずビールの人は仕事ができない」など、最初の一杯の重要性を指摘する人が増えてきた。各々が好きなものを頼めばよいが、人数が多いと大変だ。理想的な「とりあえずビール」の方法はないのだろうか。

「ビールといえば、ビールは準備がし易いこともあり『とりあえずビール』という人も少なくありません。あらかじめ、ビールだとわかっていても、必ずお客様のご要望を伺い ます。この場合、お客様が好むメーカーや銘柄はまとめてお店の人に伝えるか、ドリンクのオーダーは、お店の人が直接対応したほうがスムーズです。」(西出氏)

「ビールに限らず、体調の都合などで飲めない場合は他のドリンクにします。このような会食の場では、沈黙の時間がないように、上手く間をとりながらも、接待をする側が、話題が途切れないよう配慮する手腕が問われます。」(同)

――拙著『007に学ぶ仕事術』で触れているが、ボンドがスペクターの秘密基地に招かれ丁重なもてなしを受けるシーンは接待と同じである。「The name is Bond. James Bond」とスパイにも関わらず実名で挨拶をするが、必ず脱出を図るはめになる。スペクターの接待力が低すぎるのかも知れない。マナーを学んでもらいたいものだ。

「会話は、そのスタート時が緊張もしますし、何を話題にすればいいのか、困ることもあります。まずは、季節や天候の話が無難でしょう。乾杯のドリンクがくるまでは、差し障りのない天候などの話をしよす。しかし、世間のみんなが知っている大きな話題となるニュースがある場合には、その話題でも良いでしょう。」(西出氏)

やはりここは、TPOを心がけて無難にこなしたいものである。乾杯の後、お互いにドリンクをひと口飲んだら、緊張もほぐれてくる。一流の紳士淑女を目指すなら、接待術の基本は抑えておきたい。これからの接待シーズンを前におすすめの一冊である。

参考書籍
かつてない結果を導く超「接待」術』(青春出版社)

尾藤克之
コラムニスト

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