ソウルDMCはVRとeSportsのメッカになってました。

ソウル・デジタルメディアシティDMC。
放送局やアーカイブ、インキュベーション施設などを集積した韓国政府・ソウル市が産官連携で作り上げた町。ポップテック特区のCiPと連携していくこととなりました。
DMCには2年前に訪れ、レポートしました。が、VRやらeSportsやらインキュベーションやらかなり拡張しています。
「デジタルメディアシティ@ソウル、やるなぁ。」
ゴミ捨て場だった57万㎡を再開発してメディアの制作・研究開発機能を集積。前回訪れた際440だった入居社は現在476。入居企業には減税措置などがあるそうです。映画のロケ地としても使われ、アベンジャーズ2はここで撮られたとか。
場を仕切るソウル産業振興院によれば、構想以来、大統領は3人、市長は4人変わったが、企画・実行委員会が一貫した方針で運営しており、揺るがないとのこと。韓国は官の力が強いが政治の揺れ幅が大きい。そことの距離感は悩ましいですね。
 
シティ内にはこうしたキオスクやビル全面を使ったサイネージ、全域の無料wifiなどインフラも整備されています。ぼくらのCiPにも参考になります。

 
今回驚いたポイント1は、「デジタルパビリオン」。
中小企業が開発したVR等の新技術を展示し、ユーザに触れさせるテストベッド。そこにたくさんの「超人スポーツ」を発見しました。
 
バーチャルスキー。
案内してくれたソウル産業振興院のかたは、日本にはスキーをしに行くと話していましたが、平昌冬季五輪も近づいてきて、スキー熱も高まっている模様。
 
VRレーシング。
HMDをつけて、24人が同時に走ります。疾走感のあるドライビングに慣れるまでけっこう時間がかかり、全身に力が入ってしまう。かなり酔いました。
 
バーチャルアーチェリー。
ぼくが超人スポーツの説明をする時いつも「何キロメートルも先にある的を射抜くアーチェリーの道具」を開発したい、と話すんですが、できていました。
VR野球観戦。
ゴーグルをつけて一塁スタンドから実際の試合を観る。居間にいながら臨場感。超スポでもスポーツ観戦方法の開発をうたっており、これは有力な回答。
 
もう一つ驚いたポイント、eSports。
SPLEXというソウル産業振興院が運営する施設内に昨年、CJメディア社が韓国最大のeSports専用スタジアムを設置していました。
650席の会場は毎日、試合が組まれ、ケーブルやネットで中継。格闘やRPGなど韓国製ゲームが使われています。
日本eSports協会の理事を務めるぼくとしては、こうした環境を日本も早く作らないとますます水を開けられる、と焦ります。
1試合の賞金は最大1億ウォン。1000万円。日本では消費者庁の規制で賞金額が10万円に抑えられていて、こうした大会が開けない。この状況を打破すべく、コーエー襟川会長らと運動しているところです。
 
プロのeSportsプレイヤーが8球団(球団と呼ぶそうです)が結成されていて、KT、SKT、サムソンなど通信、IT、メーカーがスポンサーになっているそうです。
 
スタジオではeSports番組の製作・配信が行われていました。スタジアムとスタジオ、プレイヤーと観客、ゲーム会社とスポンサー、こうした環境をCiPでも整えたいものです。うらやましい。
同じSPLEX内には、メディアコンテンツセンターなる製作・編集施設が設けられていました。アニメ、映画、放送、VR、音楽。ソウル産業振興院が運営していて、安価に使えるそうです。
録音・録画、編集などの9スタジオと、サロン。
こういうのを行政が用意しちゃうのが韓国。
でもこういう施設、CiPにも作りたいなぁ。

編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2017年10月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。