ポスト平成時代、地方選出の国会議員に必須の感覚とは? --- 西野 太亮

寄稿

阿蘇山(写真AC:編集部)

衆院選は、まもなく投票日を迎えます。

熊本2区から無所属で立候補した私には、地方議員のかたのアドバイスこそありますが、選挙も未経験者主体の手づくりで進めてきました。しかも相手は15期で政権与党の要職を歴任された前職。政党や組織の後ろ盾はない分、不安になることもありますが、しがらみがないことや、新しい風を吹かせて欲しいと期待する声を勇気に変えて、ここまで戦ってきました。

選挙戦も最終コーナーに入ってきたこのタイミング。一部メディアが、天皇陛下が2019年3月31日にご退位され、翌4月1日に皇太子殿下が次期陛下に即位されると報道しました。このニュースについては、菅官房長官が記者会見で否定されたようですが、陛下のご退位の期日がいつになるにせよ、国政を目指していま戦っている私にとって、「平成の終わり」を改めて意識させられる出来事でした。

ポスト平成の時代は、単に元号が変わるだけでありません。日本全体が超高齢化、グローバル化、ICT化の本格的な波を受けることになります。今回、安倍総理が社会保障の全世代型への転換と消費税の使い道見直しを政権公約に掲げています。また、時代に応じた職業スキルを身につける学び直しをするリカレント教育を推進するなど、AIの進化やIoT普及にみられる社会の大きな変化を見据えています。

ところが、「平成の終わり」という時代の変わり目がみえてきたこの選挙、野党の再編劇といった政局的な話題ばかりが先行し、この選挙戦中の政策的な議論はおよそ盛り上がらずに投票日が近づいているのは残念でなりません。

地方は平成の「宿題」が残っている

地方レベルでも、最先端の時流をとらえ、変えるべきことがあればいち早く手を打たねばなりません。ただ、私も財務省を辞めて、熊本に戻ってきてから直面したのは、平成の時代にやっておかなければならなかった宿題もかなり残っていることです。

東京の方だと、道路などのインフラ整備を重点公約に掲げる候補者というと、なにか古い政治家のように思われがちですが(笑)、そもそものレベルでインフラが未整備のままという地域も多いのが実情です。

たとえば、熊本で車を運転していると、渋滞が多いことに気付かされます。主要幹線道路でありながら片側一車線も珍しくありません。昨年の大震災後の復興に伴い、車の出入りが激しくなったことも渋滞悪化の要因とみられますが、道路の問題に手をつけないままでは、復興が遅れるばかりか、地域経済も成長しづらい。全国区のネームバリューのある企業や工場を誘致できたとしても、物流が滞るようでは住民も企業も時間的、経済的コストを負担し続けるだけです。実際にそうしたことを街頭演説で訴えるだけで、熊本の皆さまからも「道路の不便をなんとかしてほしい」という切実なお声をいただきます。

これからの政治家に必要な感覚とは

もちろん、インフラ投資には、用地買収や財政的な問題もありますのであっちもこっちも敷設というわけにはいきません。税収が今後大きく増えず、人口も減ってゆくという趨勢にあっては、投資に見合った効果がどこまであるのか、しっかりと検証もしていかねばなりません。ただ、投資に工夫が必要なのです。県内の国道のある地域では、一定距離の拡幅工事をするだけで渋滞のキロ数が、およそ半減する効果もありました。

西野氏ツイッターより:編集部

一方で、これからの自動車業界の動向も見据えると、世界的にEVにシフトし、自動運転が普及することで道路利用やインフラへの負荷がどの程度になるのかという新しい視点が求められます。これからの政治家は、最新のトレンドへの感性も磨きつつ、目の前の旧態とした政策課題にも答えを出していくという「過度期」ならではの、絶妙なバランス感覚が求められるのではないでしょうか。

私自身は、残り少ない選挙戦ですが、「これからの熊本」「これからの日本」を任せていただけるように、しっかり訴えてまいります。

西野 太亮(にしの だいすけ)
元財務省官僚、衆議院熊本2区候補者(無所属)
1978年生まれ。熊本高校、東京大学法学部卒業後、財務省に13年勤務。人口減少や地域活性化、そして大地震という困難に見舞われた故郷への恩返しとして政治の道を志す。ホームページ