「健康>価格>利便性」データが示す日本人の健康志向の高まり

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

「日本人は健康に関心が高い」というイメージをあなたはお持ちでしょうか?日本人の平均寿命はグングン伸びており、その数字が健康志向を表しているように思えます。実際、日本人はめちゃめちゃ健康志向であり、その傾向は年々高まりを見せていることがデータから分かります。

今回は日本政策金融公庫(略称:日本公庫)農林水産事業が2017年1月に行った意識調査結果を元に解説をしていきましょう!

食の優先度は「健康」が13半期連続でトップ!

食材を選ぶポイントって人によって様々ですよね。「何といっても値段が安いことが一番!」

「おいしいものが食べたい」「仕事で忙しいから、手間がかからない簡単に食べられるものがいい」といった具合です。食材を選ぶポイント上位3つを見てみましょう。

健康志向 44.1%

経済性志向(値段) 35.2%

簡便性志向(手軽さ) 30.2%

となっていて、健康志向がトップ、食材を買う時の優先度は「健康>値段>手軽さ」という結果になっていることが分かります。やっぱり日本人の健康志向は本物ですね!値段や手軽さ以上に健康を求めているのは素晴らしい傾向だといえます。これが他の先進国や新興国で調査をすると別の結果になるかもしれませんね。個人的には「経済的志向(値段)」がトップに来るんじゃないかと思っています。富裕層はどの国でも値段より健康志向を優先するのでしょうけど、今回の意識調査の調査対象は富裕層に限りませんので、「日本人の食材志向は健康が第一」といっていいでしょう。

年代別に異なる食の志向

見て頂いた通り、全体的な志向は健康がナンバーワンでした。しかし、年代別に結果を見てみると違った結果が出ています。例えば20・30代では手軽さや経済性が、健康より上位に来ています。若い年代は食材に健康を求める以上に手軽に食べられるもの、値段が安いものを優先していることが分かります。

反面、50代から健康志向は一気に高まり、60代・70代で健康志向を示す数値は60%を超えています!年代があがってくると健康診断結果や体調や健康の変化を自覚する機会が増えるからでしょうね。中年期以降の年代で健康をないがしろにしてしまうと、病気や体調不良で苦しい思いをするだけでなく、医療費の面でも経済的損失につながります。年代が上へいくほど、食の健康度合いが上がるのは当然の結果といえるでしょう。

国産か?海外産か?を気にする人が増えた

そして食料品の購入や外食時に「使われている食材が国産か?海外産か?」を気にする人が増えています。スーパーで食料品を買う時に気にするのは80.4%、外食時でも33.9%という結果が出ており、これはかなりの人が国産か否かをチェックしていることが分かります。

これは自分も経験があります。先日、外食に出かけたのですが「野菜たっぷり健康丼!」と大きく入り口のディスプレイに出ていたので、思わず吸い寄せられるようにメニューを見てみました。確かに野菜がたくさん使われていていかにも「健康に配慮しましたー!」という感じが伝わってきます。ですが金額の下に小さく「※とうもろこし…米国、ニンニク…中国産」と書いてあり、野菜の産地のほとんどが海外産でした。それを見た私はそっとお店を離れ、最終的に国産野菜を使用した別のお店で食事をすることにしました。これを書いている私自身も、使用している食材の産地でお店を決めた瞬間でした。

同じように外食時に食材の産地をしっかりチェックしている人は意外と多い、ということがデータ上でも分かりました。

半数以上の人が割高でも国産を選んでいる

国産と海外産ではほとんどの場合は国産の方が割高になりますよね。「割高でも国産を選ぶ」、という人は全体の62.8%を占めます。これは「健康、安全に対してお金を払う」という志向が現れた結果となったわけです。

特にお米、野菜、果物に対しては国産を優先する傾向が強く表れており、いずれも6割を超えています!確かに考えてみると私は国産以外のお米を食べたことがないし、野菜も「熊本県産!」などのぼりが出ていたらついつい見て買ってしまいます。果物もバナナ以外はほぼ国産のものしか食べていません。

国産品に対するイメージ

ここで国産品の食材に対するイメージについて見てみましょう。すると国産と海外産では結果がほぼ真逆にあることが分かります。

値段…70.9%が「国産品は高い」、66.6%が「海外産は安い」

安全面…70.3%が「国産品は安全」、97.6%が「海外産はどちらともいえない・安全面に問題がある」

おいしさ…62.7%が「国産品はおいしい」、95.2%が「海外産はどちらともいえない・おいしくない」

このように答えています。まとめると国産品に対してのイメージは「値段は高いが安全面とおいしさに優れている」と考え、海外産はほぼ真逆の認識でいることが分かります。

何に対してお金を支払うか?

今回の意識調査から見えてくるのは、食材や外食に対してどんな価値にお金を払っているか?ということなんですよね。同じ食材でお腹が膨れるものでも、安全性や値段、手軽さなどは千差万別です。国産は割高で品質がいいのに対し、海外産は安いけれども品質はそうでもないと考えていることが分かります。また、日本人全体的にみれば健康志向なのですが、若い世代は安くて手軽なものを求め、年代が上になるほど、割高でも品質がよく健康にいい食事を優先するなど志向の違いも見えてきました。

人生100年時代と言われ、今後もどのように健康寿命を保つのか?ということに関心が高まっていくでしょう。人の体は食べ物から作られており、食と健康は直結しています。誰かが改めて警鐘を鳴らす必要もなく、日本人は健康志向であることが分かる調査結果でした。

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。