今回、トランプ大統領は韓国国会での演説で「(朝鮮戦争で)3万6000人の米国兵士が戦死し、15万人が負傷」してまで守った韓国を命掛けて守ると述べ、韓国国民に心強いメッセージを与えた。さらに、残酷なならず者、悪党の体制は絶対容認しないと警告した。米国は3隻の空母打撃戦団を日本海(東海)に出動させ対北軍事圧力を強めている。
万が一、北朝鮮が米領海に大陸間弾道弾(ICBM)を発射する兆候を探知すれば、米軍は最大の勢力投射(PowerProjection)で北軍事施設を“火の海”にする臨戦態勢だ。
一方、北朝鮮は9月15日の弾道ミサイル発射以降、2カ月以上、軍事挑発をやめている。理由は米軍空爆の恐怖と焦り、そして中国の説得だろう。中国の丹東、瀋陽に北朝鮮の特権層の子女約500人が移住しているという情報もある。
米国が軍事行動に踏み切るかどうかは北朝鮮の出方次第だということだ。
米国は北核問題に対し「完全かつ検証可能な後戻りできない非核化」を目指している。北核は中国の全都市も射程に入っている。北朝鮮は親中派の張成沢と中国が保護した金正男を殺害した。特に、北朝鮮の核保有は中国が最も恐れる韓国と日本の核開発に名分を与える。
米本土まで届く北朝鮮のICBM配備は1年以内の見通しだ。米国にとって危険性を取り除く期間は1年しかない。最近、米議会の調査報告書は「第2次朝鮮戦争は30万人の被害リスクをもたらす。しかし、北ICBMの実戦配備を許す場合、国際社会に第2次朝鮮戦争より多大なクライシス(危機)をもたらす」と警告している。
マティス国防長官は「ソウルと東京に被害が発生しない軍事行動が出来る」と発言した。米国の「最先端情報収集資産」と「最先端戦略資産」を背景にした自信である。即ち、ピンポイント・精密打撃の「外科手術攻撃」は短時間で終わる。
今後、「経済圧力」と「外交・軍事圧力」で北が核を放棄しない場合、米国は軍事行動の選択肢を取るしかないだろう。
米国の戦略情報専門家ジム・リカード氏は対北予防戦争を新年3月20日以前に実行する可能性が70%と分析しており、米中の金正恩政権レジームチェンジ可能性は20%、北朝鮮の核放棄の可能性は10%と分析している。
北朝鮮の核開発は政権崩壊の危険性を内包しており、金正恩は文字通り命がけの危険過ぎる冒険を続けている。
(拓殖大学客員研究員・韓国統一振興院専任教授、元国防省北韓分析官)
※本稿は『世界日報』(2017年11月17日付)に掲載されたコラムに筆者が加筆したものです。