行政改革推進会議が実施した秋のレビュー(秋の年次公開検証)に参加するため、日曜日に徳島市まで日帰り出張した。その場での飯泉嘉門徳島県知事のあいさつには驚いた。知事の次のような話は目から鱗だった。
アナログ時代には関西圏から漏れてきた電波を受信して県民は多くのチャンネルを視聴していた。テレビ放送のデジタル化で電波の到達範囲がきちんと管理されることになり、徳島には3つのチャンネルしか提供されないことになった。これでは高齢者が時代劇を見られない。そこで全県にケーブルテレビを敷くことにした。今ではケーブルテレビの普及率は9割を超え、県民は10チャンネル分のテレビ番組を楽しんでいる。ケーブルインターネットでブロードバンドも実現した。ネット環境にひかれてIT企業のサテライトオフィスが設けられるようになった。
徳島県のサイトには『全県CATV網構想とは何ですか』というページがあり、知事の言う通り「近畿等県外の放送を安定的に視聴できる環境が整備されました。」と説明されている。総務省資料によれば2017年3月末で徳島県でのケーブルテレビ普及率は89.8%である。徳島県神山町のサテライトオフィスは有名である。
先日の記事『NHKの経営計画とテレビの未来』で「その先、ネット配信で番組を見るのが当たり前になるころには、テレビ用電波は不要になる可能性も考えられる。」と書いた。未来のつもりだったのだが、徳島県ではすでにそれが現実になっている。徳島県でデジタル放送の電波を止めても誰も困らない。ケーブルテレビで視聴すればよいし、ネット同時配信が始まればそれでもかまわない。
黄金周波数帯の多くをテレビに割り付ける20世紀の電波政策は徳島県ではすでに意義を失っている。飯泉知事のあいさつでそれに気づいた。徳島県の取り組みは電波政策改革の兆しである。
レビューそのものの報告は、また明日。