「こんなに狭い道をバスが通っているのか!」と驚いた経験をした都内在住の方が、案外多いのではないでしょうか?
都内を走っているのは(観光バス等を除けば)都営バスで、運転手さんは地方公務員です(待遇は若干異なるようですが)。
ちなみに、2016年3月20日時点で、公営バスが運行されているのは東京都と長崎県のみです。
それ以外の自治体の公営バスは全て民間委託か民営化がなされています。
都営バスの収支は路線別に公表されていますが、以下のように赤字路線が大半です。
黒字路線は、地下鉄やJRなどが整備されている山手線の内側がほとんどです。
なぜ東京都が採算の合わない都営バスを直接運営しているかといえば、都の財政が豊かであるという理由しか私には思いつきません。住民の足の確保という点では、他の地方自治体の方がはるかに必要性が強いからです。
狭い道を走ってくるバスは歩行者や自転車にとっても危険です。
また、追い越しの効かないところにバス停があるので、交通渋滞の大きな原因になっています。
さらに、車高の高いバスは後続車の安全を脅かします。
信号が見えないバスの後ろにいて、バスに付いていったら信号が変わっていてヒヤリとした経験をお持ちの方も少なくないと思います。
都営バスの運行本数が減れば、短い区間を安い料金利用できる「ちょい乗り」を始めたタクシー業界にとってかなりの収益向上が見込めるはずです。
最寄りの地下鉄やJRの駅までの利用者が増えるでしょうから。
そういう意味では、官業が民業を圧迫しているとも言えます。
今後、ライドシェアの上陸が見込まれるなど、都内の乗客争奪戦は益々激化していくことが予想されます。タクシー業界も生き残りに必死なのです。
自治体の財政を圧迫しないという理由のみで公営バスを漫然と維持しているのは、都民の血税の無駄遣い以外の何物でもありません。都民の血税の無駄遣いが、交通渋滞の原因となり民業圧迫につながっているとしたら、こんなふざけた話はありません。
広い東京都の中には鉄道網とのアクセスが悪く、バス路線がないと困る住民がたくさんいる地域もあるとは思います。しかし、そのような地域は固定資産税が安くて広い住居スペースを確保できるので、その代償として運賃が高めの民営バスやタクシー等を利用するのが公平でしょう。
財政が逼迫しないと無駄遣いが減らないのが地方自治体の悪い点です。
国の行政機関も同様かもしれません。
原資が血税であることをしっかり認識して、無駄遣いを減らす努力をしていただきたいと切に願っています。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年11月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。