韓国文在寅大統領はここにきて反日路線を躊躇せず歩みだした。その出自は左翼弁護士であり、親北朝鮮派政治家だから自身の源流に戻ったといった方が当たっているかもしれない。
トランプ大統領の訪韓歓迎晩さん会(11月7日)でのメニューや慰安婦女性の招待だけではない。大統領就任以来、意識的に抑えてきた反日攻勢がここにきて一挙に飛び出してきた感さえあるのだ。(「トランプ氏は韓国の“反日”に一役?」2017年11月11日参考)。
韓国聯合ニュース(日本語電子版)によると、「韓国国会は24日の本会議で、毎年8月14日を『日本軍慰安婦被害者をたたえる日』とし、慰安婦被害者への支援を拡大することを盛り込んだ慰安婦被害者生活安定支援法の改正案を可決した」という。海外に目を向けると、米サンフランシスコ市議会は今月14日、慰安婦の像と碑文の寄贈を受け入れる決議案を全会一致で可決している。その背後には韓国政府の支援があることは間違いない。文大統領の場合、反日は彼自身の路線だから確信犯といえるわけで、日韓両国の関係は再び険悪化することは避けられない状況だ。
多くの日本国民は韓国の反日攻勢、慰安婦問題には正直言ってもはや何の驚きもなく、ただ呆れて傍観しているだけかもしれないが、韓国の慰安婦像設置問題は看過できない。日韓両外相(岸田文雄外相と尹炳世韓国外相=いずれも当時)は2015年12月28日、慰安婦問題の解決で合意に達し、両政府による合意事項の履行を前提に、「この問題が最終的、不可逆的に解決することを確認する」と表明しているのだ。韓国国会が可決した「慰安婦の日」関連の改正法には「8月14日を法定記念日とし、慰安婦問題を国内外に伝え、被害者を記憶するための行事などを行う内容が盛り込まれている」(聯合ニュース)というのだ。日韓合意を完全に無視した内容だ。
それだけではない。日米韓3国が結束して朝鮮半島の危機を乗り越えなけれならない時、反日攻勢をかけるのは軍事的、戦略的にみても賢明ではない。北朝鮮を間接的に支援する政策といわれても仕方がないだろう。
韓国は慰安婦像をソウルの駐韓日本大使館前ばかりか世界に設置してきたが、これは明らかに世界に憎悪を輸出するようなものだ。サムソンのスマートフォン輸出ではない。韓国政府は民族の憎悪を世界に輸出しているのだ。
「旧日本軍の蛮行を世界に知らしめるためだ」と弁明するが、それでは韓国兵士のベトナム人女性への性的蛮行や「ライダイハン」問題(韓国兵とベトナム人女性の間で生まれた子供たち)はどうなのか。人の欠点、間違いを糾弾し、自身の問題には目を瞑っているのは人間として品性がないし、国家として2等国家と軽蔑されても仕方がない所業だ(「文大統領「ベトナムに『心の負債』」」2017年11月16日参考)。
韓国は慰安婦問題で「女性の尊厳、人権が蹂躙された」と主張するが、海外での慰安婦像建立はその女性たちの悲しみを輸出製品として世界に送っているのだ。傷口に塩を摺り込んでいるような所業だ。参考までに、韓国は世界的に女性への性犯罪が多い国だ。昔の話ではない。現代の韓国社会の話だ。
韓国は日本やドイツと同様、世界的な輸出国家だ。自国で製造した商品を海外で売っている。そして韓国にも多くの輸出商品のヒット製品が生まれてきた。自動車からIT製品では世界有数の商品として認められている。
工業製品だけではない。韓国には世界に誇る児童舞踏団「リトルエンジェルス芸術団」(1962年創設)があるではないか。英国王室も歓迎し、世界至る所で公演が行われ、その美しさはここで紹介しなくても既に良く知られている。その児童舞踏団が愛されるのは、世界に愛と平和をアピールしているからだ。韓国には憎悪を輸出する国ではなく、愛と平和を世界に伝える国家になってほしい。
編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017年11月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。