国民投票の成立要件として法定投票率の導入検討を

市川市長選挙では、5人の候補者のいずれも法定得票率に達していなかった、ということで当選者が現れず再選挙になる、ということだが、憲法改正の国民投票でも極端に投票率が低い場合の国民投票は無効にするという制度ぐらいは導入した方がいいだろう。

まあ、国民投票をボイコットすることで憲法改正を阻止する権限を国民に与えることになるから反対だ、などという議論を惹き起こすことは確実だが、憲法の最高規範性を維持しようとするのであれば軽々な憲法改正を出来ないようにする歯止めぐらいは持っていた方がいいだろう。

国民投票の総数の二分の一以上の賛成があれば憲法改正が出来る、というのもよく考えれば甘いものだ。一票でも賛成票が反対票を上回れば憲法が改正される、というのは、結構危険なことである。

まあ、改正の内容にもよるが、仮に土地については個人の所有権は認めない、とか、国民には国防の義務、兵役の義務、国家への忠誠義務があるということにしよう、などといったことにでもなれば、国民の間に相当の混乱が生じるはずだ。

自衛隊の存在を憲法に明記するとか、自衛権の行使の制約の範囲を憲法に明記する程度のことであれば、何となく、そこまではありかな、という議論になるかも知れないが、ある限度を超えたら憲法改正論議は深刻な亀裂を国民の間に齎すはずである。

国民投票の成立要件を憲法に明記する、くらいのことは考えておいてもいい。

問題は、それでは国民投票が成立する法定投票率の水準をどのあたりに持ってくるか、ということである。

国民の過半数が投票することが必要だ、ということになったら、今の社会状況では如何にもハードルが高過ぎる。絶対得票率なる概念を持ってくるのも一つの方法ではあるが、さて、国民投票についての法定投票率はどのあたりが適当だろうか。

皆さんのご意見をお伺いしたいところである。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年12月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。