今年の年末商戦は、良好な経済動向を反映し過去最高を更新する流れを維持する見通しです。米7~9月期実質GDP成長率が前期比年率3.3%増と3年ぶりに2期連続の3%成長を達成したように、消費者の懐は前年より温かいようですね。
全米小売業協会(NRF)によれば、もともと年末商戦の売上高は前年比3.6~4%増の6,787.5億~6,820億ドルと、史上最高が予想されていました。昨年より支出を増加させると回答したアメリカ人は24%のところ、年齢別で18~24歳が46%、25~34歳が39%。つまり、支出増を見込む年齢層はミレニアル世代(概して18~37歳)に相当します。ミレニアル世代は2015年に人口が7,540万人に増え、ベビーブーマー世代(52~70歳)の7,490万人を抜き米国で最大の消費者層に躍り出ましたが、今年の年末商戦では、その存在感を遺憾なく発揮する見通しです。
ミレニアル世代、白人比率では55.7%とベビーブーマー世代の72.2%から低下。
一連の調査結果通り、年末商戦は幸先の良いスタートを切っています。ソフトウェア大手アドビ・アナリティクスは、オンライン売上高が11月1日~12月5日の35日間で651.5億ドルと発表。クリスマスまでに史上初の1,000億ドル超えが確実になりました。ブラックフライデー(感謝祭明けの金曜日)の売上が前年比16.5%増の50.3億ドル、サイバー・マンデーも同16.8%増の65.9億ドルと2桁増を記録し、全体を支えた格好です。オンライン売上を押し上げたのも、ミレニアル世代である可能性が高い。ミレニアル世代における年末商戦での買い物比率はネットが58%に対し、既存店は38%に過ぎません。
ミレニアル世代と言えば、子供の頃から携帯端末が存在した世代であり“モノより思い出”あるいは“モノ消費よりコト消費“を選好する傾向が高いと言われています。今年の米年末商戦ではこうしたミレニアル世代のトレンドが色濃く現れ、調査会社NPDグループによれば、モノ以外の商品・サービスをギフトに選ぶと回答したアメリカ人は39%でした。
最も人気を集めたサービスは“外食、ワインテイスティング、フード・フェスティバル”など飲食に関わる選択肢で48%を占めています。2位は“コンサート、演劇”などのイベントのチケットで32%、3位が“スパ利用券”で31%でした。
思い出に残るギフトばかりでは、ありません。定期購読・配信サービスそのもの選ぶアメリカ人も現れ、回答の7%を占めました。購読・配信サービスのギフトは、アマゾンで購入し相手にeメール送信できるため、その利便性が高いことも特徴です。サービス自体も、動画配信サービスのネットフリックスをはじめHulu、Xboxゴールドメンバー・カードなどが並び、相手の好みに合わせてチョイスできます。
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年末商戦と言えばこれまで、小売業者の業績ばかり注目されてきました。しかし、オンラインでの買い物を好むミレニアル世代が消費の主体へ移るなか、今後は旅行以外のサービス業の書入れ時としても認識されそうです。
(カバー写真:Metropolitan Transportation Authority of the State of NY/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年12月14日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。