セミナーや講義の成功と失敗を分ける重要な「座る場所」

黒坂 岳央

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

あなたは大学の講義やセミナー、会議、その他イベントに参加する時にどこに座りますか?その答えは「後方の席」ではないでしょうか?どこのセミナーでも後ろの席からどんどん埋まっていき、前の方は誰も座らずにごっそり空席…というものです。

しかし、セミナーや講義で座る場所で成功に一歩近づく、というとどのように思うでしょうか?

前列席に座らないのは本能によるもの

前の席に座るのは躊躇する…これは心理学のパーソナルスペースで説明が出来ます。背後に他人の視線を感じる空間は落ち着かないものです。つまり、人間の本能も関係しているので、多くの人は自分の背後を晒す行為は避けようとするのが普通です。セミナー会場で後ろの席にたくさんの人が座っていて、前の方の席に誰も座っていないのにそこで前の席に座ろうと思う人はほとんどいないでしょう。

しかし、その考え、その行動はものすごく大きな損をしていると私は思います。どれだけ大きな損失を被っているのか?そこに気づく人はほとんどいません。なぜなら、一番前の一番真ん中、というもっとも座りづらい席に腰を下ろした経験を積んでいる人はあまりいないからです。

一番前の席に座ると講師の印象に残る

私は20歳前後の頃に読んだ本で「講義やセミナーでは必ず、一番前の一番真ん中に座れ」という一文に吸い込まれるような感覚を覚えました。一番前の一番真ん中に座ることはどれだけメリットが大きいのか?ということが切々と書いてあり、食い入るように何度も何度も読み返しました。

その後、23歳で大学入学を果たした私は、その本の教えに忠実に「常に一番前の一番真ん中に座る」ということをひたすら実践しました。もちろん、アメリカの大学にいってからも社会に出てからもそれは同じです。大成功を収めている人生の先輩がそのようにいっているのですから、自分の感じる心理的抵抗なんて無視です。とにかくいかなる時にも最前列に座るようにしていました。

効果はすぐに現れました。大学の講義で最前列に座ると内職なんてできるわけがなく、嫌でも集中せざるを得ません。講師も最初に私の存在を覚えてくれます。そりゃそうですよね?他の学生が一番後ろの席に団子のように固まっている中、間をあけて一人だけ一番前の真ん中に座っているのですから。「君はいつも前の席に座っているね(笑)」と笑いながら話をしてくれ、それがきっかけで教授や講師とよく話すようになり、研究所に呼ばれて教室では聞けないような面白い話や、勉強法などを教えてくれました。その時に聞いた話は、今でも血肉としてずっと役に立っているものもあります。

友人ができやすい、というメリット

一番前の真ん中に座るメリットはそれだけではありません。それは友達ができやすい、ということです。大学や社会人になってからのスクールは中学、高校ほど濃密な関係が作りにくいものです。中学高校ではどの教科も同じメンツで授業を受けるのに対し、大学や社会人スクールは自分で取りたい講義を取るわけですから。

しかし、私は大学やスクールでも自分から声をかけず、たくさんの友人を作ることが出来ました。なぜかというと、向こうからやたらと声をかけてもらえるからです。教室では後ろで団子状態になっている人が大半の中、一人だけ常に最前列の真ん中です。どう考えても目立ちますし、気になってしまいます。「なんだあの人?他の講義でも見かけるけど、毎回一番前の真ん中だな(笑)」と。そして講義が終わった後に「いつも前に座っていますよね」と笑いながら声をかけてもらえるわけです。おかげで大学生活では友達付き合いに困ることは一切ありませんでした。

前に座るアメリカ人、後ろに座る日本人

私は日本の大学に進学後、会計学を学ぶためにアメリカの大学へ留学しました。

そこでももちろん一番前の真ん中に座るというスタンスです。そこで驚いたのはアメリカ人も前の席に座ろうとすることです。このおかげで一番お目当ての席を取られないよう、私は誰よりも早く教室へいく必要があったくらいです。反面、日本の大学にいた頃は前に座る人なんて誰一人いませんでした。この違いには驚かされたものです。

アメリカ人は借金をして、自分のお金で大学に来る人が多いというのは有名な話ですが、自主的に学習したくて大学の門戸を叩いてきているのでその意欲が座る席にも現れているのではないかと思いましたね。

社会人も一番前の真ん中に座ろう!

セミナーでもそれは同じです。私は先日、出版セミナーに参加したのですが、セミナー講師は「あなたが一番印象に残った」と懇親会でいってくれました。やっぱり一番前の真ん中席に座るのは目立ったのでしょう。普通は本能に負けて心理的抵抗のない後ろの席に座るものですから、何か意識的な理由がなければ絶対に率先して前に座ることなんてありません。それがやる気とか、前向きな気持ちと捉えられて講師にとって印象に残るのでしょう。大学生だけでなく、社会人も絶対に一番前の真ん中に座るべきだと思っています。これに例外はありません。そうすることによってこれまで知り得なかったメリットを享受することが出来ます。

一番前の一番真ん中に座る、という行為はやったことがない人には想像ができないくらい大きなメリットがあります。私は後ろの席に座ることは一生ないでしょう。これからも、どれだけ大きな会場であっても、常に一番前の真ん中に座り続けたいと思います!

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。