欧州中央銀行(ECB)は12月14日の政策理事会で、主要政策金利を0.00%、中銀預金金利はマイナス0.40%にそれぞれ据え置いた。また、来年1月から毎月の資産買入額を現在の600億ユーロから300億ユーロに減額し、少なくとも来年の9月末まで継続すると改めて表明した。
経済見通しでは、向こう3年間の経済成長予想を上方修正したのに対し、2020年の平均インフレ率の予想は1.7%とした。ECBが目指す目標は2%近くとしており、これには届かない。ちなみにドラギ総裁の任期は2019年10月末となっており、物価予測からみるとドラギ総裁の任期中の利上げは困難かとの見方もできなくもない。
ただし、すでに正常化路線を進み、数度の利上げを実施しているFRBであるが、こちらも物価目標には届いておらず、2%に届かないからといって利上げの障害になるわけではないと思われる。
同日にはイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)も開催されていた。こちらも全会一致で政策金利を現行の0.5%に据え置くことを決め、資産の買い入れ枠も現行水準を維持した。イングランド銀行は11月に約10年ぶりの利上げに踏み切っており、その利上げによる影響を見定めたいとして、今回は現状維持となったものとみられる。
MPCでは景気の展開が予想通りであれば今後数年に「緩やかな追加利上げ」が恐らく必要になるとの見解を重ねて示しており、追加利上げが視野に入っていることを示した。これに対して市場はイングランド銀行の追加利上げはかなり慎重であり、2018年の利上げは困難との見方も出ている。しかし、英国のEU離脱問題が英国の経済や物価に大きな悪影響を与えるなどしない限りは、イングランド銀行は正常化に向けた歩みを継続させてくるとみている。つまり2018年の追加利上げの可能性は高いと思われる。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2017年12月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。