先般、某社で総務や経理を担当している従業員さんたちと話をする機会がありました。
彼ら彼女らが、実に的確に「軽蔑されている役員や部長等」を特定できることに、ある種の驚きを覚えました。
給与やボーナスは自動的に銀行に振り込まれる訳ではありません。必ず金額を確認して振り込む部署と担当者がいます。会社によって異なりますが、総務部などが多いようです。
当然のことながら、担当する従業員には役員報酬から末端の従業員の給与やボーナスはガラス張りです。
昨今は、末端の従業員に対してもインセンティブ賞与を付ける会社が多くなっているので、誰がたくさんもらっているか、誰がもらっていないか、振り込み担当者にとって一目瞭然です。
もちろん、こんな面白い話が社内に広がらない訳がありません。
インセンティブ賞与等が「納得はできないけど、仕方ないや」というレベルであれば、ほとんど問題はありません。
しかし、誰が考えても不合理なプラスアルファが常時付いている人が女性従業員だったりすると「上司との不倫関係」が疑われます。
“社内のうわさ一の真実百の嘘、悪事千里を走る”と言われるように、こういった話は社内中に広がります。
各方面から様々な状況証拠が出てくると、「やっぱり!」ということになります。
知らぬは“当人たちだけ”ということになるようです。
同性の部下であっても、「常にご機嫌をとっているイエスマン」たちにはプラスアルファが多いのは、もはや常識になっているとのこと。
「バカな上司とバカなイエスマンの蜜月関係」は社内の常識だそうで、二人とも下からは軽蔑されます。
役員や部長クラスが、出張で航空機を利用するたびにマイルを貯めていることも、秘書、経理、総務あたりから情報が流出します。マイルは法人ではなく個人に付与されるものなので、それを個人的に利用しても刑法上の罪には問いにくいのが実情です。
法人に付与されるマイルを個人が流用したら業務上横領罪になりますが…。
「先般家族旅行でアメリカに行ってねえ。いやあ〜、マイルって本当にありがたいねえ」などと豪語しているおバカ役員もはいるそうで、従業員たちは軽蔑の目で冷ややかに見ているそうです。
個人的な用件で経費や社用車を使う人たちもチェックされるケースが多いようです。
運転手さんは何も言わなくても「走行記録」が管理部門に上がってくるからです。
コンプライアンス重視が叫ばれるようになり、従業員たちの経費使用等は厳しく管理されるようになりました。
万一の不正行為がないよう、取引先からの贈答品にも報告義務が課す会社が多くなっています。
下を厳しく管理しておいて、自分たちは好き放題。
こりゃあ、軽蔑されない方が不思議です。
もしかしたら、知らないのは自分だけで、いつのまにか”裸の王様”になっているかもしれませんよ。
くれぐれも”李下に冠を正さず”であります。
もとい、”冠は正してもいいけど、李を取りまくるべからず”ですかね〜(笑)
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年12月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。