消費する時間を楽しめない「時間貧乏」をやめよう

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

私は結構なゲーマーです。自宅にはPS4やPS VR、PS Vitaがあり、スマホにもいくつかゲームがインストールされています。このような話をすると「時間のムダ」「いい年してもっと有意義に時間を使えないのか?」といった意見が来てしまいそうですね。確かにゲームに使う時間があれば、よりよい未来の為に時間を使うことができるのは事実です。私は事業をしているので、次の売上を作るための施策や投資に時間を回すべきでしょうか。そんなことを言われなくても分かっています。でも構いません。消費する時間を楽しむこともまた、有意義な時間と同じくらい必要なことだと分かっているからです。

時間貧乏だったかつての私

私も昔は完全なる時間貧乏人でした。口癖は「時間がない」「忙しい」。学生時代、会社員をしていた頃はずーっとこの言葉を言い続けていた気がします。毎日、寝るために布団に入った時には(今日一日時間は有意義に過ごせていただろうか?)(もっとあれもこれもやりたかったのにできなかった…)と時間の過ごし方に悔やんでばかりいましたね。大学生の時は寸分の時間を惜しんで勉強をしました。大学の友人と遊んだ後は「この時間があったら勉強できたのに」と帰り道で考えたことは一度や二度ではありません。このような考え方の人って実は結構多いのではないですか?社会人になり、休日を迎えると無性に追い立てられるように「せっかくの貴重な休みなのだから絶対にムダにしたくない!」と焦燥感が湧いてくるあの感覚を知っている人は多いでしょう。

これは完全に時間に支配された考えです。「よりよい未来に」「生産性をあげよう」そんな言葉ばかりが市場を支配し、時間のムダは即悪とされて改善を求められる…。今の効率化、情報化社会はそのような息苦しさがあるように思えます。こうなると人生の幸福度は相当に下がってしまいますよね。消費する時間の過ごし方が許されず、未来につながる時間以外はすべて悪になってしまうのであれば、常に仕事や家事をしているような状態が続くのですから一時も気が抜けません。

今考えるとかつての私はひどい時間貧乏でしたね。何をしてもどんなに頑張っても「もっと時間を!」という思考でした。

彼女の一言で人生観が変わった

そんな私を変えたのは当時付き合っていた彼女です(現在の奥さん)。

ある時、二人で駅前の居酒屋へ行きました。年末も近い、師走の時期で多くのお客さんがお店でごった返す中、静かな席に腰を下ろし大好きなビールが運ばれてくると、いつしか話題は今年を振り返るものになっていました。「今年一年はもっと頑張れた気がする。あれもやりたかった。これもやりたかった。」「来年はもっと頑張ってあれとこれがやりたい。時間をムダにしたくない」といったところ、彼女は私が思いもしなかったことをいいました。

“よりよい未来”ってもうやめようよ。大事なのは常に”今”でしょ。今が不満足なのであれば、その積み重ねた先にある未来も不満の塊となって迎えることになってしまう。時間を消費してもいいじゃない?居酒屋に来ている今、この瞬間を楽しい時間として消費するのも資産になると思うよ。ああ、あの時楽しかったって」といったのです。

私は驚き、気がつけば傾けていたグラスを水平に戻していました。この言葉をじっくり咀嚼し、そして自分の時間貧乏思考について考える機会を得られた事に深く感謝しました。なるほど、たしかにその通りです。今が幸せでなければ、いつ幸せになるというのでしょうか。未来は今の積み重ね、今が幸せでないなら永遠に幸せな未来はやってきません。人生、幸せに生きるのでないなら頑張ってもそれこそ意味が無いと思うのです。

彼女の一言で人生観が変わった私は、それ以降消費する時間を楽しめるようになりました。

何も生み出さない消費する時間はムダではない

消費する時間の過ごし方の代表格であるゲーム、「ゲームは時間のムダ」と言われます。遊んでいても何も生み出さない、たしかにその通りです。ゲームを頑張ることで、お金は入って来ることはありません。ですがそれでも私は「ゲームは時間のムダ」とは思わなくなりました。そもそもムダか?ムダじゃないか?それは他人が決めることではなく、その人自身の価値観で決まるものです。

私は高校生の時、ゲームのタイムアタックコンテストで日本一になったことがあります。人からは「バカじゃない?」と言われることが多かったですが、あの日本一になれた体験は、あらゆる場面で発揮された意義のあることだったと思っています。「ゲームとはいえ、何百人も挑戦してその中で日本一になったのだ。本気を出せば自分はきっとできるはずだ」と。一日16時間くらい時間をつぎ込み、攻略サイトで情報交換をしていたライバルをはねのけて一位になれたことは自分にとっての心の支えとなりました。その後、何度も人生の絶望の淵に立たされることがあっても潰れることがなかったのは、なにげにゲームの体験がかなり生きていると今でも思います。

ゲームの面白さは資産ではなく、消費にあたるものです。しかしそれでいいと思っています。自分の意識を楽しませることは人生の大きなミッションでもあります。意欲が減退し、何もやりたいことがなくなったり、有意義な時間を過ごすことにとらわれて心をすり減らしている人にこそ、ゲームでもなんでもいいので時間を消費する楽しさを取り戻してもらいたいと思います。

永遠に続く夏休みに思えた小学生の頃、誰しも「もっと時間を有意義に」なんて考えなかったのではないでしょうか?時間がたっぷりあるがゆえにあてのない旅に出たり、くだらない事で友人と盛り上がったり。そんな時間の使い方を振り返って「あの頃は良かった。素晴らしかった」と思うなら今からでも遅くはありません。時間を消費する楽しさを取り戻してみてはいかがでしょうか?

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。