飛行機に乗る前に「もし墜落したら…」と不安になりませんか?

出張やプライベートで飛行機に乗る前には、いつも「もし墜落したら・・・」と思ってしまう性格ですが、統計データで見ると、これがナンセンスであることが良くわかります。

アビエーション・セーフティー・ネットワーク(ASN)の調査によれば、2017年に発生した航空機事故はわずか10件だけで、死亡した乗客は44人です。この数字は、過去5年の平均である墜落17件と死者495人に比べても、かなり低い数字です。

しかも、2017年に関してはジェット旅客機の墜落事故は1件もありませんでした。死者が出たのは、貨物機か小型のプロペラ旅客機によるものだけです。

このように事故の件数が減っているのに対し、飛行数は大きく伸びています。国際民間航空機関(ICAO)の調査によれば、2016年の飛行機の輸送人数は約37億人となりました。これは25年前と比較すると、3倍以上になっています。

飛行数が伸びたのに、航空機の事故は減っている。その要因として、航空機の構造やエンジンに技術革新によって安全性の高い機材が導入されたことだけではなく、パイロットの訓練の徹底や世界的な航空規制の改善なども寄与しているとしています。

2017年のジェット旅客機の死亡事故がゼロだったのに対し、自動車をはじめとする交通事故による死亡者は、2017年に日本だけでも3694人です。これでも1948年に統計データを収集開始してから以降で史上最小になったということですが、飛行機に比べ圧倒的に危険であることがわかります。

しかし、飛行機に乗る時に「墜落したら・・・」と一瞬不安になる私も、車に乗ったり道路を歩いている時に「追突されたら・・・」とか「車にひかれたら・・・」と不安に思うことはほとんどありません。実際に事故に遭遇して初めて、そのリスクを再認識するといった具合です。

人間の感情とは、このように多かれ少なかれ不合理にできています。だから感情だけに任せて意思決定を行うと合理的な判断ができない可能性が高くなるのです。

これだけの数値データを見ても、多分また飛行機に乗る時は同じことを考えると思います。感情というのは想像以上に人間を支配しているものです。

※写真はホーチミンからプノンペンまでの移動に使った飛行機。ジェットではなくこちらはプロベラ機でした。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年1月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。