英語には『語彙力』と『ざっくり』とらえるセンスが不可欠

尾藤 克之

皆さまは、英語が好きだろうか。1年間でおよそ240万人が国内で受験する試験となったTOEIC(R)テスト。10年前と比較すると受験者数は約2倍に増えている。私たちの暮らす日本でもグローバル人材が必要になってきたことを実感する。ところが、英語が得意だと自信を持って言える人は、決して多いとはいえない。

今回、紹介するのは、『はじめてのTOEIC(R)TEST完全攻略ガイド』(明日香出版社)。著者は塚本亮さん。偏差値30台の不良から、ケンブリッジ大学院まで進み、帰国後、京都で英会話スクールを設立する。なお、塚本氏の著書には、13万部のベストセラーを記録更新中の『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』(明日香出版社)などがある。

楽しいと思うことで英語は上達する

実は、以前、塚本さんは英語が苦手で嫌いだった。しかし、ほんの小さな努力や成功経験を積み重ねていくことで、実力がついていった。実力がつくと楽しくなる。楽しくなるともっと学びたくなる。学ぶからさらに上達していく。

「とにかく練習すればスコアが取れるようになると主張する人がいます。確かにガムシャラさは『短期間でしっかりと結果を出したい』というときには必要です。ですが、ガムシャラさだけではダメです。出すための方法を知っておきましょう。」(塚本さん)

「それは、『習うよりも慣れろ』。スポーツと同じです。サッカーならパスの練習、野球なら素振りの練習など、まずはじっくりと『型』を身につけます。そして、練習試合を経ていざ公式戦(TOEIC(R)の本番の試験)に挑まなければいけません。」(同)

塚本さんは、「練習でできないものは本番でできるはずがない」と答える。だから、「できること、できないこと」を確認しなければいけない。その繰り返しが必要になる。

「頭でわかっているレベルから、スムーズに実践できるレベルへ変えていくことが大切です。バイトや仕事と同じで、テキストやマニュアルを読んだだけでは、できるようにはならないでしょう。そのために必要なことは、繰り返すことです。繰り返した人だけが、確実な成果を残せるようになります。」(塚本さん)

「間違ってもいいのです。間違ったら、なぜ間違ったのかをちょっと考えて少しずつ成長していけばいいのです。次は間違えないように、すればいい。」(同)

英語の上達に“語彙力”の強化は不可欠

「辞書で専門用語を調べてもパッとしない」「知らない単語がいっぱいある」。こうなると勉強はつまらない。読んでもおもしろくない。では何が必要になるのか。

「TOEIC(R)テストで楽しさを感じられるようになるためには語彙力の強化は不可欠です。600点未満の人は、語彙力が足りていないと考えましょう。語学の基本は語彙力抜きでは語れません。日本語で難解な専門書を読んだらどうでしょうか。 日本語には困ってはいないけれど、チンプンカンプンですよね。語彙力に立ち向かいましょう。」(塚本さん)

「TOEIC(R)テストは、『答える選択式のテスト』です。そのため、単語の音を知っておくことが大切です。意外と簡単な単語でも聞き取れない人がいます。文字を見たら意味はわかるし、書けるけれど、聞いたらさっぱりわからない。特にリスニングでスコアを取るためには、耳にその単語を認識させなければいけません。」(同)

そのためには、単語集を1冊買って、音読すると効果があるようだ。そして、すばやく声に出して単語を覚えていく。一度で覚えられないので、毎日出会う、繰り返し出会う、とにかく出会いの数を増やすことが秘訣のようである。

「リスニング力は、量より質で勝負、日本語、英語のリズムは違うので注意してください。そしてマネをしてみてください。すると、リスニング力が飛躍的いアップします。音を味わうようにしてください。リーディングはも、ゆっくり読んで設問を解いて、という問題ではありません。時間との勝負とも言えます。」(塚本さん)

意味を“ざっくり”とらえる

最後に、大切なことを申し上げておきたい。英語はざっくり意味をとらえることが望ましい。遅い人は、一つひとつの語句の意味を考える傾向が強い。文化が異なり、言葉の成立も異なる英語を完璧に日本語に置きかえることは、困難に近い。ざっくりとらえて「こんなことを言っているんだろうな」と言いたいことをつかむしかない。

本書は、英語を学ぶことの楽しみを理解したい人におすすめしたい。TOEIC(R)対策の書籍の中でも、非常にクオリティの高いレベルにあると考えられる。さて、筆者も1月に新しい本を上梓したので、関心のある方は手にとっていただきたい。ノートの取り方が上手くなるかも知れない。『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)。

尾藤克之
コラムニスト