打ち合わせの日程を決めたり、書類の確認をしたり、ビジネスでは多くの約束事・確認事がメールで行われます。メールの文章自体はさっと目を通せますが、このさっと目を通す数秒で感じる直感はとても大きいものです。いくつかの文例を見ていきましょう。
日程調整をメールでやり取りする際、何の限定もなく、「いつがよろしいですか」と聞かれても、漠然としすぎて決めようがありません。多忙なときや無理して約束を設定する必要のない相手だと、なおさら返信に困ってしまいます。
一方で「来週の水曜日の14時~16時でいかがでしょうか」と、いきなり日時を指定されても、唐突な感じがします。これでは自分の予定を優先するデリカシーのない人物と思われても仕方がありません。
気遣いができる人は「来月あたり」「来週あたり」と、まずゆるやかな期限を指定します。この後に、「ご都合のいい日はございますか?」と続いたら、スケジュールを確認する気にもなります。
私の経験からいうと、「月初めでいかがですか」「週明けでいかがですか」と、範囲を狭めてアプローチすると、忙しい人との日程調整もスムーズに進みます。例として、生保会社の営業マンからのメールを見てみましょう。
(1)○○様、「いつがよろしいですか」
〈受け取る側の気持ち〉
保険に満足していたり関心がない場合は、不快に思うだけ。会うくらいならいいかと思っている場合でも、この言い方では返信を面倒に感じてしまいます。
(2)○○様、「来月あたりはいかがですか」
〈受け取る側の気持ち〉
気遣いもあり、悪くはないのですが、来月の予定は未定でも、大事な案件が入るかもしれないと思うとすぐには返信できず、時間がかかってしまうかもしれません。
(3)○○様、「お忙しい中、ご面倒ではありますが、来月初旬ではいかがですか」
〈受け取る側の気持ち〉
来月初旬にいくつか予定が入っていても、ピンポイントなら空けられなくもないかなと予定を見返したくなるはずです。曜日や時間を確定させないにしても、ゆるやかに狭まれたアプローチは受け入れられやすいのです。
また、取引先からのメールに質問などがあった場合、相手の言葉を引用して返信をする場合もあると思います。ここでは引用メールに対する返信方法、マナーをみておきましょう。まず基本原則ですが、引用する内容は、一言一句中身を変えず、そのまま引用します。誤字や脱字があるからといってこれを修正してはいけません。
そして全文引用はNG!回答が必要な箇所、疑問を感じている箇所のみを抜き出すようにします。2つ程度の引用であれば問題ないのですが、それより多く引用質問がある場合は、「インラインにて失礼します」、「引用にて失礼します」などというひと言を付け加えておくと、気づかいが感じられます。
ただ、あまりに多い場合は、別途箇条書きでまとめて送るなど、相手も確認しやすい方法を考えたいものです。相手にとっても自分にとっても効率よく読み進められるような工夫をすることによって、相手との行き違いや誤解も防げ、ミス防止にもつながります。
参考書籍
『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)
尾藤克之
コラムニスト