【映画評】マンハント

映画「マンハント」オリジナル・サウンドトラック

国際弁護士のドゥ・チウは、何者かにハメられ、身に覚えのない女性殺害事件の容疑者として追われる身となる。事件を追う敏腕刑事・矢村は、逃亡したチウを追うが、彼に近づくほど事件に違和感を覚え、徐々に見解を変えていく。ついにチウを捕まえた矢村は、警察への引き渡しを拒否。事件の裏にある陰謀を暴くため、チウと共に真相を追うことになるが…。

殺人の濡れ衣を着せられた国際弁護士と彼を追う刑事が事件の真相を追うサスペンス・アクション「マンハント」。原作は西村寿行の小説で、高倉健主演の映画「君よ憤怒の河を渉れ」のリメイクとなる。中国での「君よ…」の人気は絶大だが、香港ノワールの巨匠ジョン・ウー監督は、とりわけ、高倉健と「君よ…」の熱烈なファンだそうだ。とはいえ映画「君よ…」は正直に言うと、荒唐無稽を通り越してて突飛なエピソードが多すぎる。それをすっきりと整理し、怒涛のアクションとして活写した手腕はさすがだ。大阪を中心に全編が日本ロケ、チャン・ハンユーと福山雅治のダブル主演、キャスト・スタッフは、中国、日本、韓国と国際色豊かだ。ちなみに、女殺し屋の一人は、ウー監督の愛娘のアンジェルス・ウーが演じている。

ウー監督が得意とするモチーフの、男と男の熱い友情、スタイリッシュなアクションは健在で、トレードマークである二丁拳銃や白い鳩、スローモーションも、しっかり登場し、ファンを喜ばせてくれる。ウー作品初登場の女殺し屋が操る二丁拳銃と、手錠でつながれた男二人の二丁拳銃はちょっと凝っていて、それが現実に可能かどうかはさておき、なかなかの見ものだ。川を疾走するジェットスキーでのチェイスもド迫力である。かっこいい男に美しい女、冤罪、陰謀、追跡劇と、あれこれ考えるヒマを与えず、あっという間に駆け抜けるエンタテインメントだ。
【60点】
(原題「MAN HUNT」)
(香港・中国/ジョン・ウー監督/チャン・ハンユー、福山雅治  他)
(スピード感度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2018年2月9日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Twitterより)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。