皇族には戸籍がない「非戸籍」問題:皇族に基本的人権はないのか

宮内庁サイトより:編集部

これは明らかに人権問題であり、憲法改正に繋がるような大事な問題なんだ、ということに気が付いた。

皇室は一種の聖域であり、これまで事実上タブー扱いだったと思うが、眞子様の婚約発表が延期になったというニュースを切っ掛けに、週刊誌以外のマスコミも皇室問題を真正面から取り上げるようになったようだ。

私自身は個人のプライバシーに関わる問題は、よほど公益性、公共性がない限り取り上げるべきではないと考えており、軽く取り上げることがあっても決して深入りしないように努めているのだが、だからと言って一切言及しないのもどうかな、というスタンスでいる。

この問題については、アゴラで十分に取り上げられているから私が口を挟む余地はないのだが、現代ビジネスに寄稿された「無戸籍の日本人」の著者の井戸まさえさんの一文に触発されて若干のコメントを書いておく。

まずは、皇族には戸籍がない、ということをご存知の方はどのくらいおられるだろうか。

私自身は皇室にトンと縁がなかったので、まったく何も考えてこなかったのだが、井戸まさえさんは実に的確な指摘をされている。

皇族の身分関係の記録は、皇統譜にあるそうだ。

相続関係の調査のため戸籍謄本や除籍謄本などはずいぶん沢山見てきたが、さすがに皇統譜にはお目にかかったことがなかった。
したがって、皇統譜と戸籍の関係についても考えたことがない。

皇族の方々は、無戸籍の日本人の一類型に当たるが、皇統譜という記録で身分関係の公証がなされるという意味で、「非戸籍の日本人」ということになるそうだ。

これまで耳にしたことがない用語だが、言われてみればそのとおり。

戸籍法の適用がないのだから、無戸籍だが、皇統譜によってその身分関係を公証される特別の日本人、「非戸籍の日本人」ということになる。

まあ、「非戸籍の日本人」などと言うと如何にも日本の国籍がないように映ってしまうから、「皇族である日本人」と呼ぶべきだ、ぐらいの意見が出てくるかも知れないが、いずれにしても、「無戸籍の日本人」の著者の井戸まさえさんは、「非戸籍の日本人」について語ることが出来る、現在の日本における最高のジャーナリストだと言っていい。

その井戸まさえさんも、眞子様の婚姻問題についてどうすべきか、ということまでは言及されていない。

私からすれば、眞子様にも普通の民間人と同じような権利や自由を与えて上げたいのだが、どうやら皇族ともなるとそうは簡単に行かないようだ。

皇族には基本的人権はないのか。
皇族には婚姻の自由はないのか。
皇族と一般民間人の間にある法的取扱いの差は、合理的理由がある差別や区別と言っていいのだろうか、などといった疑問が次々と湧いてくる。

お、これは、うっかりすると収拾が付かなくなるぞ。

この問題を突き詰めていくと、象徴天皇制の廃止や共和制の主張にも繋がっていきそうである。
私自身は現時点でこの種の問題に深入りするつもりはないが、どこか変だな、いつかは変えなくてはならなくなる時期がやってくるぞ、という予感がしている。

共産党や立憲民主党の皆さんがこれからどういう主張をされてこられるのか、当分の間は見守っておいた方がよさそうである。

皇室が結構難しい問題を抱えておられることは、どうやら間違いなさそうだ。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年2月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。