ここ数日、大きな話題になっている眞子様の結婚問題の経緯には違和感がある。それは婚約発表がNHKのスクープという形で行なわれ、本人の意思とは無関係にマスコミ主導で話が進んだことだ。今回の延期の発表にもこう書かれている。
昨年5月,予期せぬ時期に婚約報道がなされました。このことに私たちは困惑いたしましたが,結婚の意思を固めていたことから,曖昧な状態を長引かせない方がよいとの判断をし,当初の予定を大きく前倒しして婚約が内定した旨を発表することにいたしました。
この「予期せぬ時期の婚約報道」というのは、去年5月16日のNHKの「ニュース7」である。それ自体はありうることで、翌日に正式発表する話を仲のいい記者に早めに教え、一報が出て他社が取材したら「正式には決まっていない」ととぼける。
しかしこのニュースを聞いた宮内庁の幹部は、寝耳に水のような顔で否定した。当人も「予期していなかった」というのだから、これは「まだ気持ちが固まっていなかった」ということだろう。小室圭さんの生活設計の見通しが立ってから、と考えていたかもしれない。皇室の中で合意ができていなかったとも考えられる。
そういう時期にNHKが報道したことで、婚約が既成事実になってしまった。NHKの橋口記者は小室さんに2回もインタビューしたというから、家族の了解は得ていたのだろうが、彼が「身体検査」の役割も期待されていたとすると、小室さんが母子家庭で、法律事務所の補助的な事務をしている「パラリーガル」だということは、取材すればすぐわかるはずだ。
もちろんそういう事情をすべて知った上で、当人が結婚を決意するのはかまわない。だが一般人とは違うのだから、皇室も宮内庁も反対していないことを確認するのがマスコミの常識だろう。これぐらい大きなニュースだと、少なくとも報道局長まで話が上がり、宮内庁に裏を取るのが普通だ。ここから先は推測だが、次のような可能性が考えられる。
- 皇室も宮内庁も情報を確認し、NHKが報道することを了解した。
- 宮内庁は「独自」報道に反対したが、情報を確認したのでNHKが報道した。
- 家族はOKしたが、宮内庁には裏を取らなかった。
1は考えにくい。宮内庁は非常に格式にこだわる役所で、重要な情報が漏洩することをきらう。婚約も正式発表は9月だったので、「それまで待て」というだろう。
2は一般のスクープならありうることで、情報源がOKするまで待っていたらスクープはできない。だが今回のように当事者も「予期していなかった」というのは、裏が取れていなかった疑いがある。
つまり宮内庁が同意していない(あるいは反対している)段階で、家族がNHKにリークして既成事実にしようとした3の可能性がある。橋口記者は家族の話を信用し、宮内庁に裏を取らなかったのではないか。そう考えないと、彼らの初動の対応は説明できない。
結果的には、NHKの報道は「勇み足」だったといわざるをえない。今回の延期で、結婚は破談になったと理解するのが常識だろう。もっと時間をかけ、宮内庁が小室さんに就職を世話してから婚約発表するなど、対応策はあったはずだ。話をぶち壊して多くの関係者を傷つけたのは、NHKの早まった報道である。