英国の中央銀行であるイングランド銀行は8日の金融政策委員会(MPC)で政策金利を年0.50%に維持すること、買入資産の保有額を4330億ポンドに維持することを全員一致で決定した。これは事前の予想通り。
イングランド銀行は昨年11月2日のMPCで2007年7月以来、10年4か月ぶりとなる利上げを決定した。7対2の賛成多数で政策金利を過去最低の0.25%から0.50%に引き上げた。今回はこれによる効果を見極めたいとして現状維持を決定したとみられる。ちなみにこのときは全員一致ではなく、カンリフ副総裁とラムスデン副総裁が、賃金の伸びは低く現時点で利上げを正当化できないとして利上げに反対し、据え置きを主張した。
今回、同時に発表されたインフレレポートによる経済成長見通しは、2018年が1.8%、2019年は1.8%、2020年も1.8%とした。11月時点では2018年が1.6%、2019年は1.7%、2020年は1.71%となっていたことで、それぞれ引き上げられた。
インフレ見通しについては、1年後が2.28%、2年後が2.16%、3年後が2.11%。11月時点では1年後が2.37%、2年後が2.21%、3年後が2.15%となっていた。
ただし足元の物価は昨年12月の消費者物価指数が前年同月比3.0%と政策目標の2%を大きく上回る状況が続いている。
今回の声明文では、「2月のインフレレポートに沿って英国の景気が底堅く推移すれば、金融政策を11月時点の予想よりも幾分早く、かつ一段と引き締める必要があるだろう」と明記されていた。
これを受けて市場では次回のインフレレポートが発表される5月のMPCでの追加利上げ観測を強めた。MPCの今後の日程は3月22日、5月10日(四半期インフレレポート)、6月21日、8月2日(四半期インフレレポート)、9月13日、11月1日(四半期インフレレポート)、12月20日となっている。
ここにきて米国株式市場が大きく下落し調整局面を迎えている。ファンダメンタルズは良好であり、今回の調整は一時的との見方も強いが、これまでのゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれていた状況に変化が生じる可能性はある。しかし、景気が大きく悪化するようなことがない限りは、イングランド銀行の再利上げの可能性は高いと思われる。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年2月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。