『建国記念の日』報道で北朝鮮“擁護”のNHK暴走

八幡 和郎

NHKニュースより(編集部)

建国記念の日をめぐるNHKの7時のニュースはひどかった。

建国記念の日 各地で式典や集会(NHKニュース)

祝賀派の紹介に続き、わずか260名の反対集会が開かれたというゴミみたいなニュースを対等のかたちで紹介したのだが、その内容が酷い。

「北朝鮮への対応は、対話と交渉が唯一の選択肢で、こういう時、日本には戦争の放棄などをうたう憲法9条に基づく役割があると述べた」というもので、建国記念とは全く関係がない。

以下は、その報道内容である。

建国記念の日の11日、これを祝う式典や、反対する集会が各地で開かれました。

このうち、東京・渋谷区の明治神宮会館では、神社本庁などでつくる「日本の建国を祝う会」が式典を開き、主催者の発表でおよそ1200人が参加しました。

この中で、会の代表を務める國學院大学の大原康男名誉教授があいさつし、「ことしは明治維新150年という記念すべき時にあたる。困難を乗り越え栄光の時代を築き上げた歴史を思い起こし、この式典が真の日本再生の一歩につながるよう願う」と述べました。

そして、「国の独立と繁栄を確保していくために、今こそあるべき新しい憲法の制定を目指し、国民的議論を一層深めていくことが肝要だ」などとする決議が採択されました。

一方、東京・中央区では、歴史研究者や労働組合の関係者など、主催者の発表でおよそ260人が参加して建国記念の日に反対する集会が開かれました。

この中で、平和運動に取り組む団体の川田忠明常任理事が講演し、「わが身や家族、国が大事であれば戦争をしてはいけないのは共通の事実だ。北朝鮮への対応は、対話と交渉が唯一の選択肢で、こういう時、日本には戦争の放棄などをうたう憲法9条に基づく役割がある」と述べました。

建国記念の日が制定されたときに、当時、野党第一党だった社会党は反対していたが、最終的には、名称に「の」を挿入した「建国記念の日」として“建国されたという事象そのものを記念する日”であるとも解釈できるようにし、具体的な日付の決定に当たっては各界の有識者から組織される審議会に諮問するなどの修正を行い、社会党も妥協し、1966年(昭和41年)6月25日、「建国記念の日」を定める祝日法改正案は成立している。

しかも、現在の野党が反対しているわけでもない。そういうなかで、半世紀前と同じように、賛成派と反対派の行事を同じ比重で報道すること自体が異常である。

さらに、建国記念の日とは何の関係もない、北朝鮮との外交交渉について、北の核保有を容認するような演説を反対派の集会でした人がいたとしても、それをこのニュースの内容として放送することは著しく不適切である。

北朝鮮の肩を持つようなニュースを流しにくいので潜り込ませたとしか思えない。

ただし、私自身は、『男系・女系からみた皇位継承秘史 』(歴史新書)でも論じたように、建国記念の日のあり方を変えるべきだという意見だ。なぜなら、紀元節は、記紀の記述をそのまま信じても、宮崎出身の神武天皇が大和盆地の片隅にのちに大和朝廷に発展していく元となる小王国を創業した日であって、その時点で日本国だったとはいいがたい。

日本国というに値するのは崇神天皇の本州中央部統一以降だろうし、日本統一は仲哀天皇を待たねばならない。

一方、現在は日本のナショナル・デーとして在外公館が扱っている天皇誕生日が、代替わりごとに変わり、しかも、現在の12月23日のようにお祝い事に必ずしも向かない日であることもある。それを考えれば、イギリスの女王誕生日のように固定した方が良い。

そこで、建国の日と天皇誕生日を統合して、2月11日を『皇室の日』としてナショナル・デーとして盛大に祝うというのが私の提案だ。

「立憲民主党」「朝日新聞」という名の偽リベラル
八幡 和郎
ワニブックス
2018-02-26

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男系・女系からみた皇位継承秘史 (歴史新書)
八幡 和郎
洋泉社
2017-07-04