都議会のみならず、今週は都内や全国各地で多くの地方議会がスタートする週となります。
年初の第一定例会は予算とともに「目玉政策」が発表されることも多いのですが、私も注力している聴覚障害者支援に関連して、手話言語条例について大きな報道がなされています。
東京新聞:「手話は言語」広がれ 都内初の条例、江戸川区提案へ:社会(TOKYO Web)
江戸川区は今季の定例会で、都内で初となる手話言語条例が成立する見込みとのことです。
手話は日本語を表す単なるツールではなく、アイディンティティを規定する言語そのものであるということに対する理解促進は、ろう者・手話言語者の長年の悲願でもあります。
参考過去記事:
●実は日本には言語が2つある。日本語と、もう一つは…◯◯?!
●「当事者間の調整」という最も困難な課題をクリアした、兵庫県明石市の「手話言語・障害者コミュニケーション条例」
私もかねてから都議会で手話・言語条例の制定を求めてきました(平成27年第三回定例会など)が、提言が実を結び、東京新聞の記事にある通り6月制定を目指す障害者差別解消条例の中で「手話は言語」と位置づけられる予定となっています。
荒川区でも六月の条例制定を目指し、素案作りが進む。障害者福祉課は「手話への理解や普及啓発が進むことで、手話がどこででも使いやすくなる」と効果を期待する。都は六月制定を目指す障害者差別解消条例で、手話を言語と位置付ける方針だ。担当者は「手話も言語であるという認識を広げ、その奥深さなどを理解してもらいたい」と話す。
(上記記事より抜粋、強調筆者)
パラリンピックなどの一大イベントを控えて、こうした機運が高まり「条例」という目に見える形で具現化することは、非常に大切な一歩であり実現は嬉しい限りです。
■
ただ残念なことは、聴覚障害当事者議員を有する私の地元北区が、手話言語条例への対応が遅れて未だに実現を見ていないことです。
3年前の選挙で聴覚障害を持つ斉藤りえ議員を支援してから、一貫してこの条例制定を私も主張してきましたが、残念ながら他区の江戸川区・荒川区などに先行を許す結果となりました。
総論では反対する人のいない手話言語条例の制定ですが、明石市の例で触れたように、条例制定ともなれば当事者や関係者との綿密な調整が必要となります。
おそらく区としては、優先順位的にその調整コストを取らなかったのだと思いますが、それにしても江戸川区が条例制定をするのに、新聞記事でインタビューを受けているのは聴覚障害当事者の北区議会議員という…
これが綺麗に北区で都内初の条例が制定されていれば、もっと大きな話題となった可能性がありますし、「言語バリアフリー先進都市」などのきっかけづくり等にもつながったでしょうから、非常に惜しい機会を逃したと感じざるを得ません。
ただ、早ければ良いという競争でもありませんので、引き続き私の地元北区でも手話言語条例の制定が前向きに進むよう、私も地元選出の地方議員として働きかけを続けていきたいと思います。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年2月20日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。