陸自隊員の新制服 全配布に10年も 予算確保や生地調達苦慮 士気低下の懸念も:産経ニュース
陸上自衛隊が3月から導入する新しい制服が、全隊員への配布を終えるまで約10年かかることが19日、分かった。15万人分を一括でそろえられるだけの予算確保や生地の調達ができないためだが、陸自隊員には時間がかかりすぎることへの不満や士気の低下への懸念が広がっている。自民党国防族も問題視しており、防衛省に調達計画を前倒しして配布期間を短縮するよう求めている。複数の関係者が明らかにした。
率直に申し上げて、陸幕の調達能力が崩壊している証左です。
平然と「10年も掛かります、エッヘン」という計画を立てることに違和感をもたなかったというのは組織として異常です。ですが、中の人たちはそれを異常と思っていないわけです。危ない組織ほど自覚が無いという典型例です。
だからOH-1は全機飛行停止でも問題ないとか言っちゃうわけです。
こんなものユニクロあたりに発注すれば1年で揃えられますよ。
10年も掛かるのは国産で、固定した出入りの業者に頼むからでしょう。
別に勤務服で戦闘するわけじゃないし、ベトナム製とかバングラ製で何の問題があるんでしょうか。いまや我が国の洋服の96パーセントは輸入ですし。
それよりも、利権まみれですぐに色落ちする、ビニロン製の戦闘服を何とかしろとか、未だにプレートキャリアすら導入していない後進性をどうにかしろ、と思いますがね。競争入札が一番大事といいつつ、実質寡占で入札が機能していません。オスプレイですら入札で選んでいるのに不思議な話しです。
どうしても国内生産じゃ無いと都合が悪い物以外は安価な輸入に切り替えて、調達時間を短縮し、浮いた予算で調達されていない、防燃下着とか、その他他国では普通に支給しているのに自衛隊では支給していない被服や装備を調達する原資にしてはどうでしょうか。
どうしても国内メーカーを保護したいのであれば、それは特定のメーカーでは無く、国内に仕事を落とすということを主眼にするべきで、その際には海外製品とコストを比較して、以内にコストと調達期間を収めるべきです。
国内衣料メーカーの生産基盤を残すという産業政策という観点であれば、それは経産省と協議して骨子を決める話でしょう。
国内の既存の防衛関連企業に仕事を落とすことが目的化して、国産ならば青天井で銭を払う、という悪しき慣習は見直すときに来ています。もうそんな冗費を使う余裕は陸幕には無いはずです。
■本日の市ヶ谷の噂■
広域多目的無線機が全く通じないので、陸自では検閲、点検時だけもちだして、実際には旧式無線機を使う部隊が多いとの噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年2月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。アイキャッチ画像は産経新聞サイトより。