唯川恵さんのエッセイ集「風姿恋伝」に収められている「本当の恋の楽しみ方を知っていますか?」を読むと、次のような内容が書かれていた。
どうせなら、一生のうち、こんな3人の男と恋に落ちてみたい。落ち着いたうんと年上な大人の男。友達感覚を持てる同世代の男。小僧らしくて刺激的なうんと年下の男。
年上の男は安心感があり、自分の知らないこと沢山知っているので、自分をどんどん成長させてくれる。同年代の男は、友達感覚を持てるので気楽に付き合える。
うんと年下の男は、厄介な男の面子(メンツ)みたいなものが希薄なので、こちらも肩から力を抜いて付き合うことができる。という理由だそうだ。
もちろん、それぞれなりのデメリットもあるのでなかなかうまくいかないという事情も言葉巧みに語られており、最後に必要なのは“度量”とのこと。
異なった世代に憧れるという点では、男性にも同じような傾向が見られる。
「年上のお姉さん」に憧れる男性、「同級生の年代」との恋愛を楽しむ男性、「年下の女性」を慈しむ男性……自分の年齢によって相対的に異なるかもしれないが、隔たったジェネレーションの相手に惹かれる気持ちは同じだろう。
リンダ・グラットンも指摘しているように、昨今はいわゆる「同類婚」が増えているそうだ。
同じような学歴、趣味、生活様式を持ったもの同士が付き合って結婚すると言うのが「同類婚」の典型。高校や大学なども同級生同士が結婚するケースが多いのもこのひとつだ。
同性同士の付き合いも同じジェネレーション同士がほとんどとなってしまうと、世代間の考え方や価値観に大きな断層ができてしまう。ましてや、技術シンポが飛躍的に速くなっている今日では、たった20年ぐらいの違いで「メールも使えないアナログ人間」と「キーボードさえ使わなくなったIT人間」が同じ世界に並存している。
世代間の断絶が必ずしも悪いことだとは言わないが、自分を取り巻く世界があまりにも狭くなり過ぎるのは個人的にはうれしくない。とりわけ、「単身世帯」が増え続けている今日においては…。
「恋人を作る」とまで高望みしなくとも、年齢の隔たった世代の人たちとの交流は当事者にとって大いにプラスになると思う。最大の利点は、世界観が広がることだろう。とりわけ、デジタル世代とアナログ世代の交流は、双方に大きなメリットをもたらすはずだ。アナログ世代がデジタル機器を駆使できるようになれば、確実に世界は広がる。
逆に、デジタル世代が(一部のアナログ世代が経験したように)1冊の本にのめり込んで人生観を変えられてしまうような経験をすれば、人生全般におけるSNS等のウエイトがうんと下がるかもしれない。
「自分たちの価値観を決して相手に押し付けない」というマナーさえきちんと守っていれば、年齢の隔たった世代間の交流は双方に大きなプラスになる。
ただ、理想はそうであっても、現実には(人間の本能である)強固なまでの保守性がそれを妨げてしまうのかもしれない…そうだとしたらいささか残念なことだ。
唯川さんの指摘している“度量”、つまり双方が寛容性を持てることがジェネレーション間の交流を円滑化する最も重要な要素になるのだろう。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年2月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。