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『「立憲民主党」「朝日新聞」という名の偽リベラル』(ワニブックス)で扱ったテーマでもあるのだが、自称リベラルというか、世界的に普通に使われるリベラルの定義とはおおよそ無縁なポピュリスト偽リベラルが日本の言論空間と野党を支配している。
そうした勢力がもともと無責任だったのは、自民党が永久政権で、社会党が永久野党という55年体制があったからでもある。
しかし、そのころは、左翼思想としてそれなりに首尾一貫はしていた。ところが、このところ、その首尾一貫性すらなくなって、恣意的な言論や行動を繰り返して恥としない。
そのなかで、保育園が足りなくても、思う就職先に就職できなくても、五輪で勝てなくても安倍政権のせいにする人たちは「アベノセイダーズ(安倍のせいだーず)」と呼ばれている。
しかし、このところ、もうふたつのタイプが登場したようだ。まず、「安倍だからダメだーず」だ。同じことをしても、安倍首相だからダメだという輩である。安倍独裁とか安倍一強、安倍官邸恐怖人事とかいうが、官邸機能の強化や各省横断人事は、小泉内閣や民主党政権が強力に推進したものだ。
ただ、民主党内閣は政治家の質が悪かったから使いこなせなかっただけだ。官僚の質に変わりはない。安倍官邸の主要スタッフのなかには、民主党政権のままの人だって多いのである。
加計問題に登場する和泉補佐官は横滑り、情報を総括する北村滋情報官はそのまま、元TBS記者の逮捕状を止めたと言われる中村刑事部長などみんな民主党政権の中枢の人たちだ。それに民主党内閣のお友達登用もひどかった。某長官の民間登用が、官邸幹部の高校の同級生で大臣の地元なんていうこともあった。
安倍昭恵夫人の振る舞いが問題にされるが、鳩山幸夫人が官邸で韓流スターといちゃついてたのはどうなのか。
それから、「憲法のお陰だーず」も困ったものだ。憲法第9条があるから戦争に巻き込まれないというが、たしかに、国連決議まであった湾岸戦争に参加しなかったことは第九条あればこそだが(そのことで失ったものは大きいが)、日本が戦場にならないためには第九条はマイナスしかない。
拉致問題が起きたり、韓国がごときに竹島を占領されたり、中国に尖閣で盲動されるのも第九条あればこそである。
さらに、先日、アゴラで『朝日新聞が「女性参政権が新憲法で実現」と大誤報』と書いたが、女性参政権は旧憲法下の1945年12月の法律改正で認められ(まだ近衛案が議論されてた頃でGHQ憲法などアイディアも出てなかった)、旧憲法下で2回の総選挙も行われている。
つまり、GHQが旧憲法のままで民主化すればよいということでも認められたのである。そもそも、ヨーロッパのカトリック系の国は戦後になってから婦人参政権を認めている。日本は戦前からヨーロッパ諸国より一歩遅れるくらいのタイミングで選挙権を拡大していたから、戦争に負けなくとも女性参政権の実現は時間の問題だった。
困ったのは、ジェンダーの専門家と称する朝日新聞の女性記者すら、そんな初歩的なことすら知らぬから、戦後の民主化も五箇条の御誓文から順次勧められてきた民主化の流れのなかにあることを理解せずに、なんでもかんでも新憲法のお陰にしてしまうのである。しかし、彼女も誤った戦後教育の哀れな犠牲者だということには同情を禁じ得ない。