ママに朗報、パパを財務大臣に任命!簡単な家計管理の方法

尾藤 克之

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「毎月赤字続きでやり繰りが大変」「贅沢をしたり、ブランド物のバッグが欲しいとかの理由ではないのに」「子供の塾代や習い事、家族のために貯蓄をしなければいけないのに」…等など、と考えている人はいないだろうか。そのような人は今日から家計管理をはじめることをおすすめしたい。「でも、忙しくて」という人に朗報がある。

今回紹介するのは、『年1回見直すだけ! ラクして貯まる! あきのズボラ家計』(実業之日本社)。著者は、平塚千晶(著者名は「あき」)さん。家計管理&家計簿ブロガーとしても活動をしており、にほんブログ村「家計管理・貯蓄人気ランキングPVアクセス順」第1位。累計1218万PV超えの大人気ブロガーでもある。

基本を知らなきゃ貯まらない

家計管理というと「なんだか難しそう」と考える人が多い。実は家計管理は基本がわかると、とても簡単に覚えられる。本書の何がわかりやすいのか筆者なりに考えてみたが、決算書や財務諸表のような読み方をイメージしている点だろう。普段から営業活動など、数字に慣れているパパのほうがしっくりくるかも知れない。

「基本を知らないと、家計はあっちこっちに迷走してしまいます。まずは、私が考える家計の基本について紹介します。私が考える家計とは、1.固定費、2.生活費、3.特別費、4.貯金の4層構造です。4.の貯金を増やすためには、お金の枠を大きくするか(収入を増やす)か、支出を小さくするという選択肢以外にはありません。」(平塚さん)

「でも、支出を小さくするだけでは、貯金は増えてもただのケチになってしまいます。家計の基本が見えていないと、どう頑張ってもいまの家計状況ではムリな計画を立ててしまうことがあります。まずは現状を把握しましょう。」(同)

経営を例に考えてみよう。筆者は、企業分析の際、最初に内部留保をチェックするようにしている。内部留保が多い会社は「比較的金儲けが上手い会社」と判断できるからだ。これは、家計管理も同じ。貯金が多い家計管理は内部留保が多い会社と同じと考えることができる。また、経営の仕組みはシンプルで業績を改善する方法は3つしかない。

1つ目は売上高を増やすこと。「お金の枠を大きくすること」と同じである。2つ目はコストを下げること。「支出を小さくすること」と同じである。経営の場合、3つ目は限界利益率の改善になる。しかし、家計管理には馴染まないので割愛する。基本は、収入を増やすか、支出を減らすか、この2つの選択肢以外には無いのでシンプルである。

もっとも大切な支出の考え方

支出を知るには、家計簿をつける必要があると考えるが多い。家計簿があれば、即座に支出を計算できる。支出は、大きくは「固定費」「生活費」「特別費」(=比較的高額な支出。家族旅行など)の3つに分かれている。このなかで、管理が難しいのが、「生活費」「特別費」。日々の作業が必要になるからである。

しかし、銀行引き落としになっていたり、明細をとっておけば容易に把握できる。「固定費」の算出には、「毎月必ず支払うことが決まっている支出」を書きだす。家賃、光熱費、携帯電話、生命保険、習い事、学校の教材費、小遣い。また現金手渡しになっている支出。これらが毎月いくらになっているか計算するだけなので簡単である。

次に、「年間で必ず支払うことが決まっている支出」を書きだす。住宅ローン、ボーナス払い、年払いの生命保険、高額な習い事、車検など。支払うことが決まっている金額を算出する。経営の原価管理と理屈は同じなので、パパのほうがわかりやすいかも知れない。

「毎月必ず支払うことが決まっている支出」×12カ月

これで年間の支出がシミュレーションできる。そして、収入から支出を引けば自由に使えるお金がはっきりとわかる。家計のやりくりは自由に使えるお金の配分比率にかかってくる。営業活動の固定費の計算とまったく同じ。上司は、粗利(=想定利益)から、中途採用社員の広告費を出したり研修費を出したりするもの。

ただし、あくまでもシミュレーションであって確定したものではないから、多少のブレは生じる。想定の範囲であれば問題は無い。それより、最終的にゴールの見えない家計管理は、ゴールのない営業活動と同じようなもの。いまの家計管理をすることで、幾ら貯まるかイメージしていたほうが間違いなくストレッチできる。

ゴール設定の上手いパパにお任せ

平塚さんは、本書の最後で次のように言っている。「できる人には、はじめから貯金のゴールが見えています。ゴールが見えているから、そこに向かって進むだけなのです。一方、貯められない人は、ゴールはおろか立ち位置さえも分かっていないことが多いものです」。

家計管理をこの際、パパに任せてしまうことも一考だろう。会社ではメンバーを集めて、「ゴールの設定をしているのか」「この案件は粗利が悪い」「ピンチはチャンスだ!途中で諦めるな!夢にときめけ!明日にきらめけ!」と気合いを入れているかも知れない。ゴール設定が必須の家計管理にパパの存在は欠かせない。

経営数値などは基本を理解すればいくらでも応用が利く。家計管理もこれと同じ。さて、筆者も、新刊を上梓したので関心のある人は手にとってもらいたい。家計管理の際に、もしかしたら役立つかも知れない。『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)

尾藤克之
コラムニスト