諸手を挙げて賛成ではないが、自民党の改憲案が見えたのを歓迎

森友学園の決裁済み文書の改竄問題が発覚してから、一転して安倍内閣が窮地に陥り、これに連れて憲法改正に向けての党内議論も迷走気味だったが、ここに来てようやく自民党も態勢を立て直したようだ。

さすがに細田さんは強かである。

ギリギリまで議論は続けさせるが、どんなことについてもタイムリミットがあることは忘れない。
大勢をよく見てここらあたりが限度だな、と思えば、躊躇なく議論を打ち切り、一任を取り付ける。

石破さんや石破さんの支持グループの方々は細田さん一任には反対で最後まで抵抗するだろうが、しかし大勢に逆らうことまではしないということを見切って、議論を打ち切り、決を採る。
正式に採決の手続きを取ったのかどうか分からないが、一任に賛成する声が一任反対の声を圧倒していただろうから、自民党的にはこの一任の手続きには何の瑕疵もない。

石破さんや石破さんの支持グループの方々が、自分たちの反対意見を無視されたと怒って席を立ったり、離党の意思を表明すれば、自民党内に大きなさざ波が立つことは必至だが、細田さんは石破さんたちに十分の意見表明の時間を与えていたはずだから、石破さんたちがそういう行動に出るはずもないということは明らかだ。

自民党内での議論が不十分だ、などと仰る識者の方がおられるが、自民党としての意見の取り纏めはこのくらいで十分だろうと思っている。

自民党の憲法改正推進本部の議論は、3月25日の自民党の党大会に間に合わせるための作業だということは、皆さん十分承知のはずで、昨日の段階で意見の取り纏めが出来なければ自民党内での憲法改正論議は失速するところだった。

さすがは、細田さん、と言うべきだろう。

もっとも、だからと言って自民党の目論見どおりに事が運ぶと思うのは大間違いで、これから先が大変である。

自民党の憲法改正案は、必ず修正される。
あのままで憲法改正の発議が成るはずもないと思うから、私は、自民党の憲法改正案は当面のところこの程度で結構だ、と申し上げることにしている。

憲法改正案の発議は自民党だけでは出来ないのだから、自民党の憲法改正案は結局は叩き台、いや、叩かれ台になる。

それでいいじゃないか、というのが私の意見である。

国会で大いに揉んで欲しい。
国会で揉みに揉んで、大方の国民が納得出来るような憲法改正案にブラッシュアップして欲しい。

よろしく。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年3月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。