こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
3月27日は予算特別委員会最終日、いよいよ予算案への採決が行なわれました。
我々「かがやけTokyo」は都議会自民党とともに予算編成替え(組み替え)動議を提出し、賛成少数で否決。
※予算編成替え(組み替え)動議って何?と思った方は↓の過去記事をば。
【参考】知事が作った予算案が気に食わない!そんなとき、議会に何ができるのか?
http://otokitashun.com/blog/togikai/14555/
そのため、一般会計予算と市場会計には反対を表明しました。
都議会自民党が予算案の反対に回ったのは、革新首長であった美濃部都政のとき以来、実に41年ぶりになるそうです。
昨年は共産党都議団が予算案の賛成にまわり、44年ぶりに「全会一致」で小池知事の予算案が可決され、大きな話題になったことが懐かしく思い出されます。
今年は自民・共産・かがやけTokyoの3会派が予算案反対にまわり、小池知事の政治姿勢や予算案の歪みと、求心力の低下が可視化されるという結果になりました。
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今回、都議会自民党と共同提出した組み替え動議は、一般質問で知事に厳しく指摘し、ブログでも3回に渡って解説を行なってきた「築地市場再開発検討予算」「特別顧問に係る予算」の減額を求めるものです。
※予算特別委員会に関する過去ログはコチラから。
セクハラやじ問題や舛添問題以来、ずっと激しくやりあってきた都議会自民党と轡を並べる日が来るとは夢にも思っていませんでしたが(苦笑)。
政策や政治姿勢に違いは多々あれど、今回の予算案については考えが一致、共同提出に至った次第です。
組み替え動議を求めた以上、それが認められない予算案には反対するのが筋。
とはいえ、福祉や防災など幅広い分野を含む予算案に反対を表明するのは、極めて重い判断でもあります。
しかしながら組み替え動議を出した分野の他にも、小池知事が都民にお約束をした一丁目一番地とも言える政策分野において変節・後退が見られます。
小池知事が編成した二度目となる予算案は、特定方面に政治的配慮をにじませ過ぎた結果、改革予算とは呼べないものになってしまいました。
こうした事態に警鐘を鳴らすためにも、予算案反対という決断を下した次第です。
詳しくは、最後に記載する討論全文もお読み下さい(「自民党とかがやけTokyoの一体化」とのレッテル貼りもあるようですが、スタンスの違いがこれ以上ないほど明確になっているはず)。
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小池知事は予算案成立後の記者会見でも、反対に回った自民党を名指しで批判するなどしていたようですが、
自民党・共産党、そして小さいながらもかがやけTokyoと複数会派が反対に回ったことで、知事の求心力はさらに低下、今後の都政運営も一層苦しいものになったことは疑いようがありません。
小池知事も、知事が特別顧問を務める知事与党も、政敵(都議会自民党)をやり玉に挙げることに躍起になっているように見えます。
しかしながら、自民党が第一会派だった前期と異なり、相手の変節や主張を批判していれば支持される時期はとっくに過ぎています。
都民に約束をした政策・政治方針を実現できているのかが問われているのであって、今回、複数会派が反対に回ったことは「政局」と切って捨てるのではなく、重く受け止める必要があるのではないでしょうか。
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知事与党が単独過半数を下回り、自民党・共産党という大会派が反対姿勢を旗幟鮮明にした今、知事は都議会公明党の協力なくして1つの議案も通せない状態に陥っています。
だからといってこのまま「ベタオリ」的な政治的配慮を続けていて、都民からの支持は得られるのか。「改革」という政治目標は達成できるのか。
小池都政はいま、大きな岐路に立たされているように感じます。
我々かがやけTokyoは、東京大改革の原点である情報公開と徹底した改革を進める議会勢力です。
その本義に基づく政策と姿勢については強く支持し、そうでないものは毅然と反対する。
小池都政が「東京大改革」の原点に立ち戻ることを祈念し、都議会最終日の議決にも臨みたいと思います。
それでは、また明日。
■以下、討論全文■
我々かがやけTokyoは、第1号議案「平成30年度東京都一般会計予算」および第19号議案「中央卸売市場会計予算」に反対、その他の知事提出議案に賛成。自民党・かがやけTokyo提出の第1号議案と第19号議案に対する編成替え動議に賛成、共産党提出の編成替え動議・修正案に反対の立場から討論を行います。
初めに、一般会計予算に対する総論と、反対理由を申し述べます。小池知事が編成した2度目となる東京都予算案は、多方面への政治的配慮をにじませた結果、改革予算とは言い難いものになっています。大きな組織や政党から一切の支援を受けず、都民と決めることを公約してスタートした小池都政。それが幾多の選挙を経る中で、政治的利害を拙速に求めたあまり、いつのまにか都民不在の古いしがらみに囚われてしまった。率直にそう感じている都民は、我々だけではないはずです。
こうした背景を表すかのように、都財政の予算規模は総額14兆4,440億円、一般会計は7兆460億円となって再び7兆円を超え、増大傾向にあります。事業評価の実施により1,086件の調査結果を公表し、676件の見直し・再構築を行い、約870億円の財源確保を実現したことは高く評価いたしますが、生み出された財源を別の部分に付け替えるのでは、都民が期待した真の改革にはなりえません。
小池知事が言うところの「あふれんばかりのぜい肉をつけてしまった巨大な肥満都市東京」を改善していくためには、ぜい肉の恣意的な付け替えではなく、行政の予算規模そのものの圧縮が必要になります。そのためには、基礎自治体に権限と財源を移管するとともに、都民へ「減税」という形で財源を還元していく方向性を模索すべきであることを、まず申し上げるものです。
その上で、今回の予算編成においては、改革の後退の兆しとともに、不適切な予算計上が認められました。都政の自律改革を支え、2020改革プランを練り上げた特別顧問たちの突然の解任。確かに特別顧問団には、築地市場移転問題において混乱の元凶となるなどのマイナスがあった反面、見える化改革・自律改革においては大きな貢献を残していることも事実であり、この退任は「改革の後退」との印象が拭えません。
さらにはこの退任が、予算審議の最中に突然発表される一方で、当該顧問たちの報酬や旅費はそのまま予算化されるという、極めて不可解な状態にあります。予算審議中に提案者自ら、予算の用途変更を行うことは、予算編成の原理原則に反するものであり、議会軽視と判断せざるを得ません。
よってかがやけTokyoは、特別顧問に係る報酬と旅費の合計額4,300万円の減額を求めます。これが否決された場合、組み換えが反映されない予算案に賛成することは不適当との考えから、一般会計予算案すべてを否定するものではないものの、改革後退への懸念や、情報公開に関する諸課題も含めて、本予算案には反対を表明するものです。
続いて、各分野の重要事項について申し上げます。
まず情報公開についてです。都政改革の一貫として「見える化改革」が進展し、行政情報の可視化が実現されたことは大きな前進です。一方で、肝心の小池知事自身については、市場移転問題における不透明な意思決定が未だ明らかにされていないように、情報公開における課題は今なお解決しておりません。今回の予算編成過程においても、一部業界団体に対して口止めとも取れる文言とともに、知事査定結果が事前通知されたことも問題視されました。選挙公約である「情報公開」が未だ十分に達成されていない状況については、憂慮とともにその改善を強く求めるものです。
行政改革について申し上げます。予算審議に先立ちまして発表された2020改革プランは石原都政以来、初めて策定された本格的な行政改革プランです。公営企業の民営化や、外郭団体の改革にまで踏み込んだ内容は画期的であり、高く評価いたします。しかしながら、前述のように、このプラン策定を牽引した特別顧問の退任が急遽発表されるなど、その改革の遂行には強い懸念を感じざるを得ません。現在発表されている2020改革プランの実行を着実に推し進めるとともに、残るユニットの事業評価および改革プランの取りまとめについても、早急に行なわれるよう要望致します。
都民による事業提案制度について申し上げます。今回の予算案における新たな取り組みとして、都民から事業提案を募り、最終的に9件・約8億5千万円分の予算が計上されました。これは都民の意見をダイレクトに予算に反映させる試みとして、前向きに評価するものです。しかしながら、最終的な採用案を決めるために行なわれた投票では、総投票数がわずか4,185票に留まるなど、大きな課題が残りました。次年度以降に向けては、都民全体を巻き込んだ施策として成長・改善されることを期待いたします。
続いて、福祉政策について申し上げます。若年層に対する包括的な子育て支援策として、今回の予算案において「ライフステージに応じた切れ⽬のない⽀援」が示されました。結婚・出産から育児・子育て期までのステージ別で事業を構成することは、これまでの都政には見られなかったことであり、望ましい変化です。新たに予算が計上された産後ケア事業など、充実した新規事業が円滑に実行されることを望みます。
待機児童対策としては、ベビーシッター利用事業に新規で50億円もの予算がつけられました。我が会派はかねてより、保育所といういわゆる箱物だけでは待機児童解消は不可能であり、小規模保育やベビーシッターの活用を提言してきたところであり、画期的な決断であると高く評価いたします。せっかく制度ができたのに「ベビーシッターの不足で使えない」といった場面が生じないよう、ベビーシッター事業者の選定基準は都独自のものを設定し、利用しやすい制度設計と運用がなされることを要望いたします。
増え続ける児童虐待に対応するために、児童相談所の体制強化が欠かせません。予算案でも着実な対策が講じられておりますが、児童相談所への常勤弁護士の配置や、警視庁との情報全件共有が早期に行なわれることを望みます。乳児院の家庭養育推進事業費が3倍に拡充されていることは評価するとともに、国が策定した新たな養育ビジョンに則り、乳児からの里親委託を強く推進することを求めます。
オリンピック・パラリンピックについて申し上げます。五輪組織委員会が発表したバージョン2予算に合わせて、都は大会関連経費として新たに約8100億円計上することを発表しました。都民の理解を得ながら東京大会を成功に導くため、大会関連経費については透明性を高く保つとともに、さらなる費用の圧縮に努めることを要望いたします。
最後に、市場会計について申し上げます。本予算特別委員会での質疑を通じて、知事が選挙公約として発表した市場移転における基本方針は、大きな変節を遂げていることが明らかとなりました。基本方針発表時に高らかに掲げた、築地への市場機能の残置や、築地に戻りたい事業者への支援は退けられ、築地再開発はまったく見通しが立たない状態です。さらには再開発の前提となる、賃料160億円の長期貸付という収益性については議論・検討すら行なわれておらず、その実現性は極めて薄いと断じざるを得ません。こうした中で、すでに市場用途に使わないことが明らかである築地跡地の検討費用が、市場会計に計上されることはとうてい容認することができず、市場会計予算には反対し、築地再開発に係る検討予算5,400万円減額の編成替えを求めるものです。加えて、築地市場跡地については、基本方針を改め、速やかに有償所管替えを行うことを強く要望いたします。
かがやけTokyoは、東京大改革の原点である情報公開と徹底した改革を進める議会勢力です。
その本義に基づく政策と姿勢については強く支持し、そうでないものは毅然と反対する、二元代表制の議会人たる矜持をもって活動していくことを申し上げまして、討論を終わります。
編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年3月27日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。