「佐川氏 立件見送りへ」という毎日新聞の記事が話題になっている。それに対して、若狭勝氏からの反論も話題になっている。主な内容は以下の通りである。
大阪地検特捜部は、前国税庁長官の佐川宣寿氏(60)ら同省職員らの立件を見送る方針を固めた模様だ。捜査関係者が明らかにした。決裁文書から売却の経緯などが削除されたが、文書の趣旨は変わっておらず、特捜部は、告発状が出されている虚偽公文書作成などの容疑で刑事責任を問うことは困難との見方を強めている。
国有地が不当に約8億円値引きされたとし、佐川氏以外の同省職員らが告発された背任容疑についても、特捜部は違法性があったとまではいえないと判断しているとみられ、立件は難しい状況だという。
これに対して、若狭勝氏は以下のようにいっている。
司法試験の答案採点をしていた刑事の専門家であり、特捜部副部長にも就いていた私の立場で言えば、もともと虚偽公文書作成罪の起訴は難しいところ。しかし、公文書変造罪は十分に成立し得るし、背任罪についても起訴できるはずである。さらに、偽計業務妨害罪は十分に起訴できる。仮にこれらのこともできないことになったら、我が国の刑事司法は終わりだ。政治の力に負けるような特捜部も、もう要らない。
しかし、私は、かねてから、形式要件は満たすが、微罪に過ぎて、これまでの常識からしても起訴は難しいし、もし、したら政治的な処理だいってきた。偽造というのは、決定の本体をいじくることであり、付属の参考書類部分の改竄の変更ではない。
また、価格については、私は適当とは思わないが、犯罪とするような不当なものでないと思う。つまり政治・行政の問題として対処するべき問題であって、検察の出番ではないし、犯罪に問えないからいってリークして勧善懲悪しようというなら、それは大問題である。
これについて、元官僚のある人は、
「金銭授受でも判明しない限り、『立件→起訴』できるような案件ではない。プロ中のプロである地検は、とうに分かっていたはずで、だからこそ、法に則って裁けない相手をメディア(朝日新聞)にリークすることで社会的制裁を与えたと言う構図に見える」
「立法主義で裁けない相手を権力がメディアと組んで社会的に葬ろうとする。これは、戦前の再現じゃないかと思う」
と私のFBにコメントされているが、その通りだと思う。