明治の知の巨人・安岡正篤先生は、「人間が自然から生まれつきに与えられておる人間の本質的な要素。まず明暗、光と闇だ。人間は本質的に光を求め、闇を嫌うね。(中略)人間はどこまでも明るくなきゃならん。暗くてはいけない。これは本質中の本質、根本中の根本の徳だ」と言われています。
また「人間の徳性の中でも根本のものは、活々している、清新溌剌ということだ。いかなる場合にも、特に逆境・有事の時ほど活々していることが必要である」とも述べておられますが、人間やはり(元気の)気というか骨力というか、そういうものが非常に大事だと思います。
此の骨力(こつりょく)というのは、「男性に在っては千万人を敵とするの心。女性に在つては忍受」であり「人生の矛盾を燮理(しょうり:やわらげおさめること)する力」のことで、人間本来持っている生命力(…包容力・忍耐力・反省力・調和力等)のようなものを指して言います。
5年程前のブログにも書いた通り、先ず人間というのは、気が漲って元気な状況を保ちながら夢や理想を持たねばならず、そうして出てきた夢や理想が志となって、その志を達する為に節操が入って志操になり、そして究極的には何かリズミカルになって風韻を発するかの如き格調高い人間になれるわけです。之は換言すれば人間の品位であり、人間の完成系ではそうした風韻の類が感ぜられるようなるのだと思います。
それからもう一つ、安岡先生は人生を生きる上で大事な3つのことに、「心中常に喜神を含むこと」「心中絶えず感謝の念を含むこと」「常に陰徳を志すこと」として、喜神を持つことを第一に説かれています。曰く「喜神を含むとは、どういう立場に立たされようと、それに心を乱されることなく、心の奥深い部分にいつも喜びの気持ちを抱いてことに当たれば、どんな運勢でも開けないものはなく、上昇気流に乗ったように開けていくという意味」とのことです。
溌剌とした明るさというものには、人を感化する上でも人を元気にさせる力があるわけです。取り分けリーダーシップを執るような人は発光体であり続けねばならず、明るくなければその責任を果たし得ないと言えるのかもしれません。そしてリーダーのみならず、人間にとって明るい心、喜神を常に持つとは大変重要だと思います。
昔し、小生のことを可愛がってくれた人に、八尋俊邦さんという方がおられました。三井物産で社長、会長を務められた方です。八尋さんは「ネアカ、のびのび、へこたれず」という名言を残されています。ネアカとはリーダーに限らず、大切なことだと思います。
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