別に空自の戦闘機は最先端で、最高性能のものばかり揃える必要は無い。
で、以下のようなことをツイッターに述べました。
領空侵犯に対応する専門の安価な戦闘機いれてもいいじゃないの? 現状燃料だけでも800万円ほど掛かるし機体の消耗考えれば馬鹿にならない金額ですよ。
どうせ戦闘するわけじゃないからホークとか、アエロマッキあたりの練習機ベースの機体とかグリペンまで試算してみる価値はあるんじゃないのかしら。— 清谷信一 (@skiyotani) 2018年4月21日
軍事ライターの文谷数重氏も似たようなことを書いておられます。
F-35とF-22のいいところ取りみたいな機体の開発を、と米国の一部からは声があがっております。でもどうせカネだけ搾り取られて、核心技術はもらえないでしょう。それはF-2でも痛い目にあったはずですが。交渉力の無い国が共同開発やるといいようにむしられます。
F-35等は結構な値段もするので、これをスクランブルで機体寿命を消耗するのはもったいない。だから安価な機体をこれに当てて、F-35など高価な機体の損耗を避けるというのは考慮すべきです。
米空軍だってOA-Xプログラムを立ち上げたて、非対称戦などにはターボプロップのCOIN機などを当てようなどと考えているわけです。得てして軍オタさんたちや保守の論客の人たちは「予算」の上限があることが理解できません。ですから新型、高い兵器が大好きです。ですが米軍ですらB-52だのM113APCなどを使い続けてきました。
領空侵犯対処を主任務にするならば単発でとりあえずレーダーがついて、空対空ミサイル2発は搭載できて、音速が出せればなお可、ぐらいでいいじゃないでしょうか。
これを高等練習機とか兼ねて導入すれば宜しい。
繰り返しますが景気良く、最新型、高性能というのはマニアには受けるでしょうが、実際我が国の防衛費は劇的には増えない。しかも、戦闘機の調達&維持費は上がる一方です。F-35 にしても国内でわざわざ組み立てて、高くして買っている余裕は無く、輸入に切り替えるべきです。
既存機でいえば、ホーク、M-346、T-50、L159クラスでしょう。
このクラスであれば軽戦闘機として開発し、高等練習機、ブルーインパルスの機体も併せて150~200機ほどは調達できるでしょう。また練習機であれば輸出も比較的行い安いでしょう。
これに塩害をに強くすることを重視した設計にすると我が国有用のみならず、沿岸で運用する国にも売り込み安いでしょう。
例えば単価が50億円、練習機型で40億円で、何機を、いつまでに調達するという計画を明確にしてLCCを管理して調達する。
それがせいぜい日本の航空産業の身の丈にもあっていると思います。
それにして、スウェーデン、フランス、英国あるいはチェコあたりに協力してもらう必要があります。前にも書きましたが、日本の戦闘機の開発能力は決して高くないからです。まずはそれを素直に認めるべきです。
そして輸出に関しては彼らの手を借りる。また併せて、インドネシアとかトルコとかあたりにも参加を呼びかけて開発費を低減するという手段も考えられるでしょう。
それとは別に将来の空戦を見越せば、空対空ミサイルの長射程化が見込まれております。AWACSなどと組み合わせて、後方から、大型機に多数のミサイルを搭載して運用することも研究すべきでしょう。例えばP-3Cを近代化して空対空ミサイルを搭載すればかなりの数を搭載できるでしょう。あるいは対艦ミサイルを搭載してもいいでしょう。
その代わり乗員は減らして2名にして機内には燃料タンクを増設する。
こういう機体を整備すれば、発射できるミサイルの数は増え、数の劣勢を補えるかもしれません。そもそもP-3Cにしろ、P-1にしろ対艦ミサイルの運用が可能です。
で、戦闘機には対艦ミサイルは搭載しない。中国に対して数の上で劣勢な空自の空自の戦闘機には制空だけに専念させる。
同時に将来の無人戦闘機の開発や研究も行うべきでしょう。
今までの延長線で無分別に金をばらまいて、対米追従でどこかでみたような、デッドコピーみたいな戦闘機を整備するべきではありません。
軍事技術について、未来は必ずしも現在のそのままの延長線上にはないことは歴史の示すところです。
柔軟な発想で、将来のあるべき戦闘機の姿を考えるべきです。
■本日の市ヶ谷の噂■
海自との統合運用が嫌でE-2DのCECを外した空自は、トイレとギャレーは設計変更で追加するも、発注した4機に高いカネを払ってCECを搭載する予定との噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年4月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。