18歳未満の性犯罪対策には被害者側の抑止も重要!

荘司 雅彦

SNSがきっかけで犯罪被害にあった子どもが過去最多になったと報じられた。

15歳から17歳までが全体の7割近くに上り、大部分が性犯罪とのことだ。
双方同意の上でのケースが多いことや、被害者が年齢を偽っていることを斟酌すると、捕捉された数字は氷山の一角だろう。

「被害者学」という学問分野は、犯罪被害者が(一面で)犯罪原因となっているという観点からスタートした。

被害を受けやすい人の一般的特徴や性格・心理特徴の類型化を試みたヘンティヒ以降、犯罪における被害者と加害者の相互作用論などが議論され研究された。

犯罪には、加害者の一方的な行為だけでなく被害者側の行動等も原因になっているケースもあるという考え方だ。

日本では、「被害者側の過失」という概念がかつては用いられた。
典型的な例として、暴力団員などがたむろしている繁華街に深夜で挑発的な服装で入っていく若い女性や、男性と2人でホテルに入って性的被害を受ける女性の例が挙げられた。

「過失」と言う表現が不適切なせいか、昨今「被害者側の過失」という用語は用いられなくなったが、一定の犯罪に被害者側の関与が(多かれ少なかれ)存在することは疑う余地がない。

もちろん、通り魔や事件や通勤電車の痴漢被害などのように、被害者側に全く落ち度のない犯罪もある。

SNS等を原因とする被害者の7割が15歳から17歳で、被害の大部分が性犯罪ということは、被害者の多くは女子高校生だと考えられる。このような事件の被害者全員が完全な被害者だと断じることに、私は大いに抵抗を感じる。

若干の落ち度のある被害者だけでなく、場合によっては加害者である男性よりも悪性の強い被害者も存在するのではなかろうか?あくまで伝聞だが、お金欲しさに男性を積極的に誘惑しようとする女子高校生が多数いるそうだ。

年齢を18歳以上と偽ることなどは日常的だとも聞いている(それゆえ、風俗業者などは年齢確認に必死になるらしい)。

警察やメディアは、加害者の氏名を公表するなどして男性側に強い抑止力を加えているが、それだけでこの種の犯罪が減少するとは到底思えない。

犯罪を本格的に減らそうとするのであれば、被害者側の関与も抑止すべきだ。
被害者側の関与を抑止するには、被害者との距離が近い保護者や学校の不断の努力が必要だろう。

もし、私が高校や中高一貫校の責任者だったら、校内へのスマホや携帯電話等の持ち込みを一切禁止する。
プライベートな時間までは拘束できないが、保護者から大事な生徒を預かっている時間帯はSNSから遮断するのだ。

スマホやタブレット等は最先端で便利なツールなので、有効利用すれば学業や仕事、社会生活に大きな恩恵を与えてくれる。しかし、性犯罪へのアクセスが極めて容易であるというマイナス面も見逃せない。

学校責任者であれば、少なくとも生徒を預かっている時間は、マイナス面から生徒を遠ざける義務があると私は考える。スマホ等を禁止しても、勉強や学校活動には支障はまったく出ない。

通学時間が長い等の理由でどうしても必要な生徒の場合は、必要と認めた上で登校時に預かり下校時に返せばいい。

「生徒たちの自由に対する侵害だ」という反論もあるだろう。
しかし、自由は必ず責任を伴うものだ。

性犯罪に巻き込まれても一方的な被害者と扱われて自ら責任を取れない生徒たちに、そのきっかけとなる自由を与えるべきではない。
18歳未満の者に対する性犯罪は、加害者に社会的制裁を加えて抑止するだけでは不十分だ。

被害者となりうる層もしっかり抑止する必要があると考える。

荘司 雅彦
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2017-06-22

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年4月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。