【再掲】「やらせ質問」疑惑に対する個人的な見解

鈴木 邦和

(編集部より:5日16時)先に非公開となりました本エントリーにつきまして、都民ファーストの会が鈴木氏のブログに再掲を認めたことから、アゴラでも再び公開します。

こんにちは、都議会議員の鈴木邦和です。ここ数日、小池知事が都民ファーストの会に「やらせ質問」を指示したのではないか、といった疑惑が話題になっています。

・やらせ質問疑惑 答弁骨子も併記 都議、ファイル写し公開:東京新聞
・“都民ファやらせ質問疑惑”保存者名が「ecoyuri」:テレ朝ニュース

疑惑の詳細は上記の記事をご覧頂ければと思いますが、仮に行政のトップである小池知事が議会にやらせ質問をさせたのだとすれば、議会のチェック機能を骨抜きにしており、二元代表制の観点から問題という指摘です。本件について、私に寄せられている都民の方々のご質問にお答えする形で少し解説したいと思います。

Q. 小池知事は「やらせ質問」に関与しているのか?

可能性は限りなくゼロに近いというのが私の結論です。小池知事が質問作成に関わったとする主な根拠は、今回公開された質問ファイルの保存者名が「ecoyuri」というPCアカウント名だった事にあります。これは小池知事のTwitterアカウント名と同じであることから、知事の関与が疑われました。

しかし、この「ecoyuri」というアカウント名は、都民ファーストの会の党本部のPCで普通に利用しているものです。この名前を以って知事が関与したとする主張には流石に無理があります。加えて28問もある質問を、知事自身が作成することも、また詳細に指示して作成させることも、知事の業務レベルからは到底考えられません。

Q. 樋口議員や都民ファーストの会は質問を自分で作っていないのか?

今回「やらせ質問」の疑惑を掛けられている樋口議員と私は、同じ委員会に所属しています。いつも向かいのデスクで仕事をしていますし、彼の質問を毎回聞いています。少なくとも私の知る限り、彼は文献等を毎回よく調査した上で自身で質問を作成されていますし、質問を他人に作らせるような行為は見たことがありません。

今回問題となっている8月の臨時議会では、私は別の委員会に所属していたので、私の証言に力はないかも知れませんが、樋口議員あるいは都民ファーストの会が、知事に対する「やらせ質問」を常にしているかのような印象操作に対しては、明確に否定しておきたいと思います。

Q.「東京都」作成ファイルはあり得るのか?

今回公開されたファイルの作成者が「東京都」となっているため、「やらせ質問」ではないかという指摘ですが、これは日常的に起こり得ます。都議会では議会当日までに、議員と職員が何度も質問案と答弁案をやり取りします。その際に、議員が職員に質問案ファイルをメールで送ると、職員が答弁案も加えた新規ファイルとして返送することはよくあります。私の過去の委員会質疑案でも「東京都」作成ファイルのものは見つかると思います。

Q. やましいことがないなら質問作成の過程をなぜ公開しないのか?

正直ここは各人によって判断が分かれるところです。議員としてなかなか公開できない事情は理解できます。作成過程における質問案は、調査が不十分だったり、誤解を招くような表現が残っていたりします。都の職員とのメールのやり取り含めて全て公開するのは、相当高いハードルです。

しかし、現状の説明では、都民も報道機関も納得出来ていないというのも事実です。作成者である「東京都」が具体的にどの局なのか、そして、どのような経路で文書が渡されたのか、苦しくとも出来る限りの情報公開をして、都民に納得頂ける説明をすることこそ、都民ファーストの会が挑戦するべき政治の姿です。

今回私に寄せられた意見の中には「自分たちに都合の悪いことは情報公開しない姿勢を見て、党への信頼が完全に失くなった」といった厳しい声もありました。隠し続けて都民の信頼を失うよりは、情報を公開した上で、謝るべきところがあるなら謝って、再発防止策をしっかり提示する方がいいのではないかと私個人は思っています。

政治家には、有権者の信頼がなければ出来ない政策が沢山あります。そして、信頼を得る上で大事なのは情報公開です。私が都民ファーストの会から政治家を志したのは、この情報公開の理念に共感したからに他なりません。党としても、個人としても、都民が託してくれたその想いを忘れずに、残り3年3ヶ月仕事をしたいと考えています。


編集部より:この記事は東京都議会議員、鈴木邦和氏(武蔵野市選出、都民ファーストの会)のブログ2018年4月30日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は鈴木氏のブログをご覧ください。