こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
ちょっと本気で憤りと危機感を感じているので、あえて少し強めに書きます。
豊洲市場の賑わい施設「千客万来施設」の事業者との交渉が混迷を極めていることは、以前から何度も取り上げている通りです。
過去記事:
「謝れない知事」のために、さらに数億円の損害が出ることになりかねない事態
事業者である万葉倶楽部は、この事態に対して正式なプレスリリースも発表しています。
そして本日は事業者との直接折衝を拒む小池知事に変わって、長谷川副知事が事業者の元を訪れて会談に臨む予定となっていました。
ところがなんと、サプライズでこれに小池百合子知事本人が同行し、電撃訪問が実現。
誰もが予想しなかったこの展開に、
「ついに小池知事も、謝罪をして事態の打開を図るのだ」
「さすがにここで知事からの謝罪があれば、事業者側も動かざる得ないだろう」
と多くの人が感嘆しました。
謝罪したからといって済む問題では勿論ないものの、事業者が求めた要求に誠意を持って応えれば、確実に事態は前へと進みます。
ところがなんとなんと…
これもまた誰もが予想しなかったことに、小池知事が明確な謝罪をしなかったため、事態はさらに膠着するという結果を招きました。
“豊洲観光施設” 都と運営会社の協議難航 合意見通し立たず(NHKニュース)
会社側が求めていた知事の謝罪について、同行した長谷川副知事は「知事ご自身が来て会長と直接話をしたことが、そういうことになったのではないか」と述べましたが、高橋会長は「小池知事は明確に『申し訳ない』とは言わなかった。今の条件では進まない。限りなく東京都と万葉倶楽部の間には信頼関係はゼロだ」と述べ反発を強めていて、合意の見通しは立っていません。
確かに一般論として言えば、「知事が動いた」という事実は極めて重く、それをもって(空気を読んで)謝罪と受け止めてほしいのという理屈があるのかもしれません。
しかしながら、そのような対応で事態を打開できる時期はとっくに過ぎ去っています。
小池知事にその自覚がなかったことも、またしても不誠実で中途半端な対応により、知事訪問という「切り札」を持ってしても事態を打開できなかったことも、極めて遺憾というほかありません。
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なお「謝罪がなかった」と判断している事業者側に対して、小池知事は夕方の記者会見で「誤解を招いたことを陳謝した」と主張しているようです。
具体的にどのようなやり取りがあったのかは不明ですが、謝罪を受ける側が「謝った」と捉えていないのであれば、それは謝罪をしていないのと同じことではないでしょうか。
(なお一般的にも、「誤解を招いて申し訳なかった」という言葉であれば、それは謝罪ではなくごまかしだと受け取られると思います)
こちらのMXニュースでは、「知事は都民に責任を押し付けた」との万葉倶楽部会長のコメントがさらに詳しく報じられています。
そして今回の一連の対応において、私が(そしておそらく事業者側も)特に怒りを覚えていることがあります。
それは事業者側との会談を終えた後、記者団からの「なぜ突然、今日事業者を訪問したのか?」という問いに対して小池知事が、
「きょう仏壇に手を合わせていたら、亡くなった父が『直接行け』と言っているように思ったから(要旨)」
と応えたことです(全文はこちらの日テレニュース参照)。
これはいくらなんでもあまりに関係者すべてを馬鹿にした発言ではないでしょうか。
そんな思いつきで突然、当事者にすら直前まで知らせずに突然訪問してきた知事が何を言ったところで、誠意ある「謝罪」だと受け取られるはずがありません。
何をごまかしたいのかわかりませんが、少なくとも公的な記者会見の場なのですから、もう少し言い方というものがあるのではないでしょうか。
「AI」発言の次は「亡き父の言葉」発言で、小池知事の信頼はますます失われたように思えます。
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言葉で失った信頼は、行動で取り返す他はありません。
小池知事は再度、事業者側をきちんとした形で(霊に言われてではなく)訪問する必要があると思います。
今回、小池知事がまっとうな対応をしていれば事態を打開できた可能性があっただけに、本当に稚拙な言動が残念で仕方ありません。
過ぎたことは取り返せませんが、引き続き心ある関係者と力を合わせながら、事態を好転させる方法を探って参ります。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年5月1日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。