謝れない知事のために、さらに数億円の損害になりかねない事態

音喜多 駿

東京都知事公式Facebookより:編集部

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

昨日今日と、公営企業委員会の視察で福岡市に来ております。視察については行程がすべて終わってからまた明日書くとして。

世間の話題が山口達也メンバーに集まる中、都政でも大きな動きがありました。

豊洲観光拠点「千客万来施設」 運営事業者の万葉倶楽部が小池都知事の謝罪求める(産経新聞) 

千客万来施設に対して、一方的に「25日までに事業実施の可否を決めて欲しい」と通達し、その回答期限が昨日でした。

6月20日に千客万来事業者にとっては「寝耳に水」な基本方針を発表して以来、知事の方向性はまったく定まらず、築地再開発の具体的見通しは今なお不透明なままです。

それどころか、予算特別委員会の質疑でも明らかになったように、知事の基本方針は変節に変節を重ねており、このような状態で事業決定をすることは極めて困難と言わざるを得ません。

回答期限となった昨日、ついに事業者側は正式に東京都に対して「知事の謝罪」を求めました。

これは私を含めた議会側が再三に渡って知事に要請してきたことでもあり、至極まっとうな対応であると思います。

しかしながら、これに対する東京都・小池知事の対応方針は、この期に及んで「副知事を派遣する」という信じがたいものになっています。

豊洲市場「千客万来」が暗礁 事業者側「知事が非を認め、謝罪を」(フジテレビ)

都と万葉側では、担当者レベルで具体的な条件を詰めてきており、豊洲市場の開場が10月に迫る中、副知事の派遣で事態の打開を図りたい考え。

いくら多忙な東京都知事とはいえ、最近は週末にこれまで出席していなかったような催事にまで公務出席しているようですから、事業者側に知事自ら足を運ぶ時間は作れるはずです。

なぜここまで頑なに訪問・謝罪を拒否するのかと言えば、知事自ら出向いて交渉がまとまらなかった時に面子を潰されたくないという、体裁に因るところが大きいのではないでしょうか。

しかしながら相手側が知事との対面を求める中、部下を派遣するような不誠実な対応を続けるようでは、交渉がまとまらないことは火を見るよりも明らかです。

むしろ都側から、体よくこの取り決めを破綻させようとしているようにすら感じられます。

このまま交渉がまとまらず、事業者が撤退することになれば、これまでにかかった損害に対する賠償の訴訟が起こることは避けられません。

法廷決着がどうなるかは誰にもわかりませんが、こうした大きな政治的案件では途中で「和解」となるケースも多くあります。

仮に和解をしたとしても、事業者側が約10億円と試算している賠償額に対して、少なくとも億単位で保障する結末は避けがたいものになるでしょう。

不誠実な知事の「体裁」のために、都民に新たに数億円の負担を強いることが、果たして許されるのでしょうか。

事態は極めて深刻であり、知事の責任は重大であることを改めて議会側からも指摘していきたいと思います。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年4月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。