日本経済新聞電子版の報道によれば、新生銀行が今まで無料としていたATM利用料を10月から有料化。1回の現金引き出しにつき、108円徴収するということです。
新生銀行は自前のATMを持っていませんから、どこで下ろしても手数料がかかることになります。
住宅ローンの利用者など、手数料が引き続き優遇される顧客もいるようですが、100万口座近くが有料化の対象になるということです。
私も新生銀行は個人口座のメイン口座としてずっと使ってきましたが、その最大の利点は、セブンイレブンに設置しているセブン銀行のATMで24時間365日手数料なしで現金引き出しができること。そして、月間10回まで国内振り込み手数料が無料になること。さらに一定の預金残高があれば、月に1回海外送金が無料でできることです。
この3つのメリットのうち、1つが無くなってしまうことになります。
もし報道の通りに、新生銀行の口座から引き出しに毎回108円のATM手数料がかかることになれば、現金引き出し口座は店舗数の多いメガバンクに切り替え、振り込みや海外送金だけに使うようにしようと思います。
新生銀行のビジネスモデルは、手数料などの無料化で顧客を集め、その人たちに投資信託や外貨預金のような金融商品を販売し、手数料収入を上げるという戦略のようでした。しかし、手数料無料を目的に口座開設する人たちは、コストに対して敏感な人たちです。銀行の提供する高手数料の投資信託や為替手数料が高い外貨預金には魅力を感じません。
しかも対面営業をして、商品説明をしなければいけないような商品があっても、対面店舗がどんどん減っており、顧客との接点が減っています。
今回のサービス低下によって口座数や預金残高は減っていくでしょうが、銀行に対して収益を生まない顧客がほとんどでしょうから、業容にはマイナスでも利益にはプラスの影響だと思われます。
日銀のマイナス金利政策によって、銀行経営は生き残りのための変化をしなければなりません。今回の報道は個人的にはとても残念ですが、銀行側の視点に立つと「儲からない顧客」にサービスする余裕が無くなってきたということ。金利で儲からなければ、このような手数料で稼ぐという流れが、今後他行にも広がっていくことでしょう。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年5月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。