女性のあなたが1人で、業界などが主催する懇親パーティに出席したとしよう。
男女比は半々くらいで、出席者は100人以上だ。
ある男性が、次のようにあなたに話しかけてきたとしよう。
1 あなたに一目ぼれしました。お話の機会をいただけませんか?
2 あなたの素敵な身のこなしや装いに感銘を受けました。美しさについてお教えいただきたいのですが?
3 たくさんの人と知り合いになりたいので、お話しませんか?
私は、グロービスの堀義人さんと違って、ナンパの経験値が低いので(堀さんゴメン)、気の利いた台詞が浮かばないが、間違いなく3はアウトだと思う。
「たくさんの人と知り合いになりたいのでしたら、他の人に当たってください」と言い返したくなるだろう。
時たま、フェイスブックなどのSNSで、「たくさんの人たちとつながりたいので」とか「たくさんの人たちの意見を聞きたいので」という理由で「友達申請」をする人がいるが、こういうメッセージは絶対に止めた方がいい。
D.カーネギーの「人を動かす」によると、貧しいオランダ移民の少年エドワード・ポークは、必死で節約して貯めたお金でアメリカ人の伝記全集を買い、伝記を読むと本人たちに手紙を書いたそうだ。
ガーフィールド将軍に「かつて運河で引き船をしていたのは本当か?」と尋ねて本人から返事をもらい、グラント将軍にある交戦のことを尋ねると将軍から夕食に招待されたそうだ。エマーソンにも手紙を出し、エマーソンやリンカーン夫人、オルコットにジェファーソン大統領といった多くの著名人と文通するようになった。
ポークのその後については、同書を紐解かなくても想像ができるだろう。
幻冬舎社長の見城徹氏は、「初めて会う人の著書はすべてを読むようにしている」と、以前記事で書かれていた。
「著書すべて」となると交友範囲が狭くなるが、それでも構わないというニュアンスだったと記憶している。
「たくさんの人と知り合いになりたくて」というメッセージを出す人と、ポークや見城氏との違いは、相手に強い関心を寄せているか否かだ。
人間は誰しも、自分に強い関心を寄せてくれる人に関心を抱くものだ(もちろん、邪悪な関心は迷惑だが…)。
そして、自分のどこに関心を抱いてくれたかを知りたくなる。
自分自身も強い関心を持っている分野なら、交流してみたいと思うこともあるだろう。
最初からその他大勢の一人だと露骨に言われたら、「他にあたってくれ」と不快感を覚えるはずだ。
自分の関心事だけを長々と書くのもいただけないし、ましてやいきなり商売をしようとするのはもっての他だ。
SNSの「友達数」や「フォロワー数」だけをいたずらに増やしても、その代償として多くの人たちに不快感や不信感を与えたのでは台無しだ。
どうせ送るのであれば、「私が関心を抱いているのは他ではないあなた(あなたの〇〇)です。…お教えいただければ幸いです」というメッセージを送ろう。
気の利いた言い回しは、堀さんのようなベテランに教われば完璧だ(笑)
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年5月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。