昨日の憲法記念日、私は広島市安佐南区で開かれた広島県憲法改正国民投票連絡会議(準備会)主催の「憲法フォーラム(広島県第三選挙区)」に招かれ講演を行いました。大型連休中にもかかわらず、首長や地方議員を含めて、会場には立ち見が出る盛況でした。
日本の独立と平和と繁栄を守り抜くには、憲法は世界中の多くの国と同じく、時代の変遷や環境の変化に応じて変わらなければならないと訴えました。憲法は決して宗教・宗派の教義(ドグマ)ではありません。
日本国憲法が公布、施行された70数年前、日本を取り巻く安全保障環境はいまのそれとまったく異なるものでした。東アジアで米国の軍事力が圧倒的な優勢を誇っていた時代にいまの憲法は作られました。中国も北朝鮮も核兵器や日本を射程に入れた弾道ミサイルを保有していない時代に現行憲法は考えられたのです。
当時大陸を治めていたのは中国共産党ではなく国民党。中国は中華民国でした。内戦が激しくなるも、まだ国民党の方が数倍の兵力を抱えていました。朝鮮半島は北緯38度線以北がソ連軍に、以南が米軍にそれぞれ占領された状態で建国される前でした。北の武装は数百丁の小火器しかありませんでした。このような安全保障環境だったからこそ、憲法9条があのような規定でも、わが国の平和は保障されていたのです。
そして70数年が経ち、日本周辺の国際情勢は激変しました。核兵器と弾道ミサイルで武装した北朝鮮を率いる金正恩委員長と、「米国第一主義」を掲げて在韓米軍撤退の可能性を示唆する発言を繰り返すトランプ大統領が史上初の米朝首脳会談に臨もうとしています。話し合いの結果によっては、長きにわたり半島を分断してきた38度線が幅50キロの対馬海峡に下りてくるかもしれません。自らが主導する朝鮮半島再統一が究極の目標である金正恩氏はまだ34歳。「長期戦」に持ち込めば、過激で厄介なトランプ大統領はそのうちにいなくなる、時間は自分の味方だと彼は考えているでしょう。
「“昨日までの平和”は、“明日からの平和”を保障するものではない」。安倍総理大臣が2015年防衛大学校卒業式で行った訓示を紹介して、講演を締め括りました。
編集部より:この記事は、自民党総裁外交特別補佐、衆議院議員・河井克行氏(広島3区、自由民主党)氏のブログ「あらいぐまのつぶやき」2018年5月4日の記事を転載させていただきました。河井氏公式サイト。