リバプールFCが勝つと法王が危ない?

長谷川 良

南米出身のローマ法王フランシスコはサッカーファンで知られている。出身地アルゼンチンのブエノスアイレスのクラブ、CAサン・ロレンツのジャージをもち、多忙の中でも重要なサッカー試合はTVでフォローしている。

▲リバプールFCのクロップ・コーチ(UEFA公式サイトから)

▲リバプールFCのクロップ・コーチ(UEFA公式サイトから)

▲レアルCF対リバプールFCの決勝戦(UEFA公式サイトから)

▲レアルCF対リバプールFCの決勝戦(UEFA公式サイトから)

ところで、欧州サッカー界のクラブ最高峰を決める欧州サッカー連盟(UEFA)主催のチャンピオンズリーグ決勝戦が今月26日、ウクライナの首都キエフで、スペインのレアル・マドリードCFと英国のリバプールFCの間で争われる。フランシスコ法王は今からワクワクしているだろう。
下馬評では史上初の3連覇を狙うレアルが優位だが、チャンピオンズリーグを過去5回、獲得しているリバプールには勢いがある、という声が聞かれる。決勝戦は文字通り、欧州サッカーNo1クラブを決めるのにふさわしい熱戦が期待される。

さて、サッカーファンのソーシャル・ネットワークで「リバプールが勝てばフランシスコ法王が危ない」という声が流れているのだ。「風が吹けば、桶屋が儲かる」といった類の無責任な論理といった感じはするが、リバプールFCが今回、6回目の覇者になれば、81歳の高齢法王フランシスコが危なくなるという情報には、それなりの説得力があるのだ。以下、説明する。

英プレミア・リーグの古豪、1892年に創設されたリバプールFCは過去5回、UEFAチャンピオンになっているが、リバプールが優勝した年、ローマ法王が亡くなり、コンクラーベ(法王選出会)が招集され、新法王が選出されているのだ。例えば、1978年、リバプールFCが優勝したが、その年にローマ法王ヨハネ・パウロ1世(在位1978年8月26日~1978年9月28日)は在位33日で急死し、ポーランドからヨハネ・パウロ2世(在位1978~2005年)が東欧出身初のローマ法王に選ばれている。「33日法王」と呼ばれたヨハネ・パウロ1世の急死には暗殺説が流れた。
最近では、リバプールFCは2005年、UEFAチャンピオンズリーグに勝利した年、今度は27年間の長期政権を維持してきたヨハネ・パウロ2世が亡くなり、ドイツ人のべネディクト16世(在位2005年4月~13年32月)が法王に選出された、といった具合だ。

ちなみに、ヨハネ・パウロ2世の任期中、リバプールFCは1981年にも優勝した。その年の5月13日、ヨハネ・パウロ2世はバチカンのサン・ピエトロ広場でトルコ系テロリスト、アリ・アジャの暗殺未遂事件に遭遇し重体となったが、幸い一命を取りとめている。

この理屈でいくと、フランシスコ法王はリバプールFCが優勝した年、なんらかの理由で死去するか、生前退位の可能性が予想されるわけだ。

フランシスコ法王は今年既に81歳の高齢だ。外遊も積極的だが、膝痛があって階段の上り下りが厳しいうえ、体力的な衰えは隠しようがない。そのうえ、フランシス法王は前法王べネディクト16世の生前退位を高く評価し、「自分も健康が悪化してローマ法王の任務が果たせなくなったら生前退位するかもしれない」と述べてきた。

リバプールFCの監督は現在、ドイツ人のユルゲン・クロップ氏(50)だ。同氏の外貌は一見野性的だが、敬虔なキリスト教徒(新教)として有名だ。そのクロップ氏が率いるリバプールFCがレアル・マドリードCFを破って覇者に輝いたならば、ペテロの後継者ローマ法王フランシスコの生命はひょっとしたら危機に陥るかもしれないわけだ。

当方は38年前、リバプールで半年間ほど働いていたことがある。だから、レアルとリバプールFCの決戦となれば、どうしてもリバプールFCの方を応援してしまうが、上記の話を聞いてからは、「できれば引き分けで、優勝カップを半分できればいいのだが……」と考え出しているところだ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2018年5月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。