関係者会議実現!立憲・共産の先生方は協力をお願いします!

田中 紀子

昨日はついに念願のニュースが飛び込んで参りました。
これまで何度も訴えて参りましたが、現在提出されている「ギャンブル依存症対策基本法」与党案の中に「関係者会議を設置する」という文言が盛り込まれた修正案が与野党の会合で提出されたのです。

ギャンブル依存症対策で修正法案(共同通信)

4/18に開催した当会のシンポジウムでもこの「関係者会議」が焦点となりました。
与野党の先生方、全員がこの「関係者会議」は必要だと認識して下さっておりましたが、官僚の皆さんが反対されていたりしていたことから、この関係者会議を入れることが、あの時点では非常に困難な状況でした。

シンポジウムの際に会場から、アルコール健康障害対策基本法の成立に尽力された「NPO法人 アスク」の今成知美さんも、援護射撃して下さったのですが、アルコールの基本法の際も、同じく関係者会議が抜かれてしまったそうなのです。

けれどもアルコールの場合は与野党の先生方が一丸となった議員連盟があったので、この議連がいっせいに反応して下さり、無事関係者会議が実現し、2年間かけて基本計画が作られました。

「次は、ギャンブルの番」と、アルコールからバトンを渡されましたが、これがIRの思惑があるために困難を極めたのです。

そもそも「ギャンブル依存症対策基本法」は「IR」の神風と共に、突然、降ってわいた好機であることは否めません。「IR」がなければ、これまで触れることがタブーとされてきた、パチンコに踏み込むことなどまず出来なかったでしょう。

我々は、IRに賛成するわけではないですが、反対でもありません。
何故なら、日本のギャンブル依存症問題は、その殆どが「パチンコ依存症問題」だからです。
これまで全く無策であったギャンブル依存症対策ですが、これを機に骨太の対策がとられるのであれば、相対的に依存症問題を軽減することは可能だと考えられるからです。

但し、あくまでも「骨太の対策」が必要な訳で、「おざなりの対策」であったなら、ただでさえ「ギャンブル大国日本」であるのに、益々問題が大きくなってしまいます。

ですから問題が見えているこれまで孤軍奮闘してきた、当事者・家族の声を取り入れてもらえる関係者会議の設置を切望してきたわけです。

そしてついに自民党の中谷 元先生の大奮闘があり、公明党の熊野正士先生、維新の馬場伸幸先生らの後押しがあって、やっと関係者会議が入ったのです。

中谷元先生は、アルコールの法案でもご尽力頂きましたが、本当に誠実に、現場の声を取り入れて下さる方なので、与党の中で根気強く働きかけて下さっただけでなく、野党の先生方の事務所をめぐって、調整にまわって下さいました。

そもそも与党案と野党案の違いは、この関係者会議くらいしかありません。
ですから内容について問題はなくなったはずなのです。
で、ありながら昨日の会合も立憲と共産の先生方は欠席されたというのです。

それはないんじゃないですか!?
と、心から両党の先生方に落胆し、憤りを感じています。

もちろん立憲の先生方の中にも、高井崇志先生や初鹿明博先生の様に、この問題にずっと関わり、我々の願いを理解し尽力して下った先生方もいらっしゃいます。

けれども党の上層部の方々の判断で、ここまで出来あがっている案を、「これを通すと、IRを通してくるから」という理由で反対する……一体、先生方はどこを向いて政治をされているのか?と、腹が立って仕方がありません。

IRはIRで先生方の知恵や発信で反対すべきであって、対策基本法とは切り分けて下さい。
そもそも政治家の先生というのは、政策で闘ってこそ存在意義があるというものではないのでしょうか?
しかもIRは、国民の6割以上が反対している法案です。

その上、マスコミだってこんなに足並みがそろうのも珍しい!という位こぞって反対の論調です。
それをひっくり返せないなら、それはもう先生方の腕の問題じゃないですか?
政権打倒ばかりでなく、どうぞ政策論争で真っ向勝負なさって下さい。

まして先生方の政権奪取、与党憎し!の思惑のために、
我々の悲願である「ギャンブル等依存症対策基本法」を潰さないで下さい。
反対される理由がないではありませんか?

今の政権は、何がどう転ぶか、何が出てくるか全く分からない、危なっかしさがあります。
与党を良いとは思っていないけど、それに代わる頼りになる野党もいない、多くの国民は、与野党どちらも評価しない、政治不信を起こしています。

それでも私たちは、日本国民として生きていかねばならないのです。
先生方に、託すしかないのです。
与野党の意見が揃い、現場にいる人間が切望し、間違いなく国民のためになる、その法案がやっと出てきた!

それを潰すような、間違った判断をどうかなさいませんように。
私たちは、この千載一遇のチャンスを絶対に逃したくありません。

政策が一致しているにも関わらず、合意はしたくないという私たちにとっては、何が何だか分からない先延ばしは止めて下さい。ここで速やかに成立しなければ、いつどうなるか全く分からないのが今の政治なのです。
日程闘争に明け暮れる現状には心底うんざりです。

どうか立憲・共産の先生方は「ギャンブル等依存症対策基本法」の速やかな成立に、お力を貸して下さい。宜しくお願い致します。


編集部より:この記事は、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2018年5月11日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。