4月11日付けのJDW誌で中国がカタパルトを使って発進する固定翼の空母用のHALE型のUAV(無人航空機)を開発中との記事が掲載されています。これは偵察用のものと思われます。
既に中国海軍は長年にわたってUAVを運用してきた実績があり、対して海自には殆どありません。
以前にも書いたかと思いますが、我が国が独自にUAVを開発するならばいずも級に搭載できるような固定翼のUAVを開発すべきです。
海自でもUAVを導入予定ですがヘリ型であり、滞空時間、高度に不足があります。また基本対潜が主体であり、早期警戒は望めません。
相応のサイズで、ペイロードはできれば1トンぐらい。ペイロードはモジュール化して哨戒、早期警戒、偵察などのミッションモジュールを搭載する。滞空時も重要ですが、軽空母で運用すべく、STOL性能が重要です。このためには複葉機も想定されて然るべきかも知れません。
また魚雷などを搭載した武装型もいいかもしれません。塩害に強く、格納を容易にするために主翼などを折りたためるようにしたり、エンジン停止に備えてできれば双発にするなども必要でしょう。
常識的に考えれば有人ヘリよりも整備も楽で、運用コストとヘリのクルーの削減にもなるはずです。
あるいは有人機を減らないのであればより濃密な対潜作戦が可能となるでしょう。
固定翼のUAVであればヘリの何倍も滞空時間が確保でき、またより高い高度を飛べるので早期警戒として特に有用でしょう。その分、有人ヘリの負担を大幅に減らすことができるでしょう。あるいは有人ヘリの機数を減らすことも可能でしょう。
また沖縄などに配備して陸上運用しても宜しいでしょう。塩害に強く、STOL性能があり、双発でより安全と地元にアピールすれば住民説得にも有利です。
そして、同様のシステムが存在しないので、多目的空母を有した他国への輸出も可能でしょう。あるいはそのような国と共同開発する手もあるでしょう。また一から開発するのではなく、既存のUAVの改良という形もあり得るでしょう。
せっかくいずも(そしてひゅうが)のような大型の「ヘリ空母」を運用しているのですから、その能力を活かすためのUAVを開発してはどうでしょうか。装備庁が検討しているようなグローバルホークもどきよりは余程有用かと思います。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年5月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。